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動かせる明日が、ここにあるからだ 『午前三時のルースター』

      2017/09/16

午前三時のルースター (文春文庫)狙って選んだら、当に読みたかったその通りの小説だった。スイスイ読めてスカッとする、『午前三時のルースター/垣根涼介/文春文庫』は超B級冒険小説だ。けなしているのではない。冒険小説は超B級に限る。イアン・フレミングだってクライブ・カッスラーだって、私の中では超B級だ。

登場人物はすべてかっこいい。主人公の長瀬はもちろん、慎一郎も源内もビエンもメイも、デンもクリスもジュンも、みんなかっこよすぎる。だいたいベトナムで失踪人を探し、組織と対決するのは旅行代理店の営業マンなのだ。普通できるかそんなこと。すいすいと難題が解決しつつ大団円を迎える、このご都合主義。くどいが貶しているのではない。これぞ求めていた超B級冒険小説なのだ。おじさんはワクワクしながらアッという間に読み終えてしまったぞ。
ラスト、慎一郎がはめていた腕時計を取って河に投げ捨てるシーンに至って、ジーンときてしまったではないか。そうそう、この感触を期待していたのだ。

これからちょっと疲れたときは垣根の文庫をむさぼり読んでしまいそうだ。楽しみが一つ増えた。

 - 小説, 読書