あとはマンゴスティン、あんたにまかせる 『天使は結果オーライ』
2017/09/16
天使は結果オーライ―ロケットガール〈2〉 / 野尻抱介 / 富士見ファンタジア文庫
『女子高生、リフトオフ!』の続編、『天使は結果オーライ―ロケットガール(2)』はケンタウロスのようなエンタテイメントだ。前半はなるほど富士見ファンタジア文庫、後半はどうみてもハヤカワSF文庫じゃねえか。どう考えても野尻抱介にしか書けないSFだろう。
前作で宇宙飛行を成功させたゆかりとマツリはその後も着々と飛行を繰り返していた。そんな中、アクシデントでゆかりの通っていた高校に不時着してしまった(この辺はトンデモSF)。そこに居合わせた女子高生、茜は宇宙に憧れ、宇宙飛行士に志願することに。採用を判定するための適性試験を終えたばかりの茜に、トラブルが発生したスペースシャトルを援助するという初飛行のミッションが与えられた。
宇宙へ飛び立つゆかりと茜。その後はまじな宇宙航空物となる。彼女たちは楽々と宇宙船マンゴスティンを操作し、なんなく船外活動をやってのけ、パパッと軌道計算までしてしまう。ゆかりと茜の活躍を見ていると、「こいつら絶対に女子高生じゃねえ」とツッこみたくなるのは仕方あるまい。野尻抱介ならではのマニアックなディテール描写満載で、完全にファンタジア文庫を離脱しちゃったね。私はそんな野尻抱介が好きなので、もちろんめっちゃ楽しめた。
ただ、エンディングは思いっきりお気楽ファンタジーに戻ってしまって、ちょっとねえとも思ったが、他に落とし方も思いつかないし、まっいいか。