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ママの遺伝子を、誰か他の娘のところへ運ぶ「遺伝子の使い走り」 『できそこないの男たち』

      2017/09/16

できそこないの男たち (光文社新書 371)以前、生物と無生物との境目を説明してくれた福岡先生が、今度は女と男との性の境界を解き明かしてくれるのが『できそこないの男たち/福岡伸一/光文社新書』だ。

本題に入る前に、とにかく物語として面白く読みやすい。科学紹介書の域を出て、サイエンスノンフィクションである。登場人物は魅力的だし(ご自身も登場人物として読める)、プロローグからエピローグまで起伏に富んだハラハラドキドキのストーリー展開、ちゃーんとオチまでついている。こんなに筆の立つサイエンティスト・ライターはちょっと見当たらない。ちなみに『生物と無生物のあいだ』は2007年度サントリー学芸賞を受賞しているが、なんと社会・風俗部門なのである。土台この賞は社会文科系の賞なので、ここまで無理しても賞をあげたかったようだ。

さて、本題。生物のデフォルトは女だった。生命が地球上に登場してから10億年間、生物の性は単一で、すべてメスだった。では男は何のために創り出されたのか、男を作り出すキーはどこにあるのか。本書はこの2点を生物例と最新の遺伝子生物学とで解説してくれる。男は女から変化したもの、というのは以前から聞きおよんでいたが、その仕組みもその変化の過程もすっきりと解き明かされている。男性の皆さん、あなたはSRY遺伝子の持ち主なのです。

男はできそこないなのである。弱い生き物なのである。女に比べて寿命は短い、がん、心疾患、脳血管疾患での死亡率も高い。女は死なないのか?いやいや、

女性の死因で男性をわずかに上回っているものがひとつある。それは老衰だ。

この事実と記述に思わず笑ってしまった。
そんなできそこないの男が存在する意味。それがこのエントリのタイトルなのである。

 - 自然科学・応用科学, 読書