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自己啓発のトリック『その科学が成功を決める』

      2017/09/16

その科学が成功を決める / リチャード・ワイズマン(木村博江 訳) / 文芸春秋
その科学が成功を決める

自己啓発書、成功本に関しては、『7つの習慣』と『ツキの大原則』とで充分と思っているので、このジャンルの本にはすっかり興味を失っているんだけれど、このタイトルと帯の文句には食いついた。『その科学が成功を決める/リチャード・ワイズマン(木村博江 訳)/文芸春秋』、「……科学が実証した自己啓発本の真偽」なのだ。食いついたのはもちろん“科学”の二文字。

本書は、(1)自己啓発って、本当に効果あるの?、(2)科学的な裏付けがあって、しかもすぐに効き目のある方法はある?、に答えることを目的としている。巷に溢れかえる自己啓発本、いろんなパターンがあるが、言われてみると科学的に(実験的に)検証したものって案外少ないのではないか。
例えば、「わたしは**で成功した」パターン。これは問題外。単なる特異解でしょう。毎朝カレーを食べれば、メジャーリーグで200安打打てると言っているようなもんだからね。次に、いろんな成功事例を集めたもの。帰納法だからましだけれど、一般解を言い切るには事象が少なく、ちょっと苦しいかも。
そこで科学の登場である。著者は心理学を中心に、243の文献を基にその答を導き出した。

自己啓発って、本当に効果あるの?

広く信じられている「プラス思考」「イメージトレーニング」は間違い、むしろ逆効果。「集団思考」「集団での意思決定」はかえってよろしくない結果になる。世の常識がガラガラと崩れちゃう。
『代替医療のトリック』自己啓発版だね。

科学的な裏付けがあって、しかもすぐに効き目のある方法はある?

ある。実験データから効き目があると判断できる方法がある。巻末にはそれらをエイッとまとめ、「59秒でできる10のことがら」を教えてくれる。全部書くとかなりネタバレになってしまうので、特に肝に命じたいものをいくつか紹介。

  • 感謝の気持ちを育てる
  • 子どもをほめるときは、才能ではなく努力をほめる
  • 成功した自分ではなく、前進する自分をイメージする

普通の結論だが、実験的な根拠がともなっています。その他も含めて、『7つの習慣』『ツキの大原則』と共通してる部分が意外と多いんじゃないのという印象。

私自身、リファレンスにあたったわけではないので、結論やその根拠となる数字を鵜呑みにするのは要注意だが、まずは一旦受け入れてみる価値ありの一冊。繰り返し読む自己啓発本が3冊になった。
(文春さん、次は何を「決めるの」?)

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