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「希望」と「祈り」 『麒麟の翼』

      2017/09/16

読み終えると、じんわりと強い気持ちが胸に込み上げてくる。『麒麟の翼/東野圭吾/講談社』は素敵な作品でした。

寒い夜、日本橋の欄干にもたれかかる男に声をかけた巡査が見たのは、胸に刺さったナイフだった。大都会の真ん中で発生した事件の真相に、加賀恭一郎が挑む。

簡単に解決するかと思われたこの事件、しかし加賀は被害者と犯人の些細な行動に考えを巡らせ、それらの意味を丹念に拾い集めていきます。そして二人の行為の謎が解けたとき、パッと真相が照らし出されます。冒頭の老人を助ける場面から、加賀の観察力のすごさに引きこまれてしまう仕掛けもうまい(どうしても阿部寛の顔が浮かんでしまいますけど)。

本書は、作家25周年記念特別刊行の第1弾。著者のメッセージによれば、日本橋(地名じゃなくて橋です)を訪れ、橋の中央に設置されている麒麟の像を見ているうちに、「希望」と「祈り」その二つの言葉に思いを馳せる人々を描こうと思ったそうです。その思いは充分に達成されているのではないでしょうか。そして東野氏も25年かあ。この『麒麟の翼』は氏の73作目のはず。年に3作品を世に送り出しているわけで、これほど良作をコンスタントに書き続けられる作家はそうはいないなあ。
ちなみに、第2弾のガリレオシリーズ新作『真夏の方程式』は6月6日文藝春秋から、第3弾『マスカレード・ホテル』は9月9日集英社から発売予定です。こりゃ読まなくちゃ。

なお、東野氏は本書の増刷分の印税全額を東日本大震災被災地への救援金として寄付するとのことです。買って読んで感動する。それだけでも被災者の方々へわずかですがお役に立てたのかもしれません。

麒麟の翼/東野圭吾/講談社文庫
麒麟の翼 (講談社文庫)

 - 小説, 読書