走ってご機嫌になろう 『脳を鍛えるには運動しかない!』
2017/09/16
運動しないとな、と思いつつなかなか始められないとしたら、本書はあなたの背中をきっと押してくれるはず。読んだとたん、僕の体は勝手に動き出していた。
僕が最近走り始めたのにはいくつかの理由が重なっていて、その最大の理由がこれ『脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方/ジョン J. レイティ、エリック・ヘイガーマン(野中香方子 訳)/NHK出版』。近頃常々、頭が鈍っているなあと悩んでいた。考える気力が湧かないのだ。そんな状況だから、このタイトルを見て飛びついた。
内容はというと、このインパクトのある邦題が言いきっている。さらに、冒頭の最初のパラグラフを引用すれば、もう充分だろう。
運動すると気分がすっきりすることはだれでも知っている。けれども、なぜそうなるのかわかっている人はほとんどいない。…… 運動で爽快な気分になるのは、心臓から血液がさかんに送り出され、脳がベストの状態になるからなのだ。わたしに言わせれば、運動が脳にもたらすそのような効果は、体への効果よりはるかに重要で、魅力的だ。筋力や心肺機能を高めることは、むしろ運動の副次的効果にすぎない。
運動すれば、体はもちろん、脳はもっと快適になるのだ。
本書は、学習、ストレス、不安、うつ、依存症、加齢など様々な現象を取り上げ、運動こそが解決策だとしている。そのメカニズムを超かいつまんでしまえば、運動すると重要な神経化学物質や成長因子がどんどん放出され、ニューロンの結合が強くなり、さらには新しいニューロンまでもが生まれ、脳の基礎構造を物理的に強くできるらしい。ここ10年ほどのあいだに次々と明らかになってきた現象なのだとか。本当はもっと詳しく難しく説明されていて全部は理解しきれないのだが、ハーバード大学医学部臨床精神医学准教授である著者が最新の研究成果に基づいて発言しているので、僕としては信頼できると判断した。
脳が鍛えられることを信じて、ランニングを続けていこうと思う。これまで手にしてきた脳や脳科学に関する本の中で、いちばん影響を受けた1冊。
脳を鍛えるには運動しかない!―最新科学でわかった脳細胞の増やし方
日本放送出版協会
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