日本橋のお正月、「雪松図屏風」と「黒楽茶碗」
昨年、テレビ東京の「美の巨人たち」で見たのがきっかけで、「雪松図屏風を観に行く」をwish list(やりたいことリスト)に挙げていた。迫力と清々しさが印象的で、是非とも実物を拝みたかったのだ。なもんで公開初日の今日、さっそく三井記念美術館に行ってきた。
「雪松図屏風」は、名前だけは知っている円山応挙が描いた六曲一双の屏風絵で国宝。雪をかぶった三本の松が描かれている。実物を目の前にすると息を飲む迫力だ。何も描かないことで、地の白を活かして雪を表現している。黒い松の葉が長いところは雪が少なく、短いところはこんもりと積もった雪。雪の白さが際立っている。200年以上の間、さぞかし大切に保存されていたのだろう。さらに、白さを失わない特別な紙が使われているのか。調べてみる価値ありかもしれない。
当初の目的を達成したところで、同時に展示されていた楽茶碗も観てきた(タイトルからしてこちらがこの展示のメインなのだね)。茶碗といえば「なんでも鑑定団」に登場するよな、くらいしか接点がなかったのだが(テレビ番組ばっかりか)、これもリアルで目にするとすごい。長次郎に始まる楽家歴代の仕事が数多く展示されている。黒楽茶碗、赤楽茶碗。あえて比べれば、黒が好きだ。吸い込まれるような純黒。お茶室は宇宙だという言い方もされるそうで、ならばその中での黒楽茶碗はブラックホールだろうか。
千宗屋氏によれば、黒という色は薄暗く設定した茶室で空間と同化し、中のお茶を空間から浮かせることでお茶そのものを際立たせるのだそうだ。薄暗いお茶室でぽっと浮かび上がるお茶の緑。想像するとなんとも幻想的ではないか。茶道の奥深さにちょっと触れたれたようで気持よかった。
あれやこれやを考えつつ、春からいいものを観させてもらった。