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絶望の片隅で 『天冥の標 7 新世界ハーブC』

      2017/09/16

天冥の標 7 新世界ハーブC / 小川一水 / ハヤカワ文庫JA
天冥の標VII 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫JA)

第6巻の読後、このブログで「『天冥の標6 宿怨 PART3』にして呆然となる絶望」と題し、「小川一水はここへ来て人類を、太陽系をどん底に叩き落とした。最終章のタイトルは、あろうことか「全太陽系応答なし」とは。」「残された4巻、人類に希望の光はどう射し込むのか!」と書いた。

第7巻『新世界ハーブC』は前巻に直結する。2502年、太陽系における残存人類はわずか52244名。そんなカタストロフィの中、小川一水は本巻で、荒野に落ちた種、そしてその芽吹きを描こうとする。

ネタばれせんように、内容紹介は裏表紙から引用。

《救世群(プラクティス)》が太陽系全域へと撒いた冥王斑原種により、人類社会は死滅しようとしていた。シェパード号によって《救世群》のもとから逃れたアイネイア・セアキは、辿りついた恒星船ジニ号でミゲラ・マーガスと再会する。しかし混乱する状況のなかジニ号は小惑星セレスに墜落、かろうじて生き残ったアイネイアとミゲラは、他の生存者を求めてセレス・シティへと通信を送るのだったが――さらなる絶望を描くシリーズ第7巻

絶望の中でかすかに輝く希望が心地よい。生まれゆく瞬間に立ち会えるのが心地よい。

シリーズ全体としては、これまで意味不明のキーワードが散りばめられ、暗中模索の中に放り込まれていたところに、うっすらと道筋が照らされたようにも感じられる。いや、甘い。まだまだだな。ハーブCno行方も、ノルルスカインの企みも、濃い霧の中だ。第1巻『メニー・メニー・シープ』は2800年代。到達するにはあとまだ300年ほどもかかる。さらに、エピローグのタイトルは「植民地の夜明け」。植民地?誰の植民地なのだ。人類の、それともノル…。

残り3巻。小川一水のことだ、これまでの7巻以上の壮絶なドラマが控えているにちがいない。待ち遠しいを超越しちゃってるのだ。しかしそんなの読まされた日にゃ、こちとらどうなっちまうんだ!

 - 小説, 読書