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カラバッジョ、カルパッチョ、カルパッチョ

      2017/05/11

『カラバッジョ展』が国立西洋美術館で開催されている。目玉は2014年に発見された世界初公開の『法悦のマグダラのマリア』。これもそうだが、彼の画には黒い背景に光を受けた人物が描かれた作品が多い。彼が活躍した17世紀を迎えるころ、室内はまだ暗かったはずで、その暗がりの中にふわっと人物が浮かび上がる様はたいそう魅力的だったのではないかと想像できる。折をみて観に行きたい。

さらに、NHK『日曜美術館』でこの展覧会に関連し、彼を取り上げていたのを目にした。

そんなこんなで頭の片隅でカラバッジョがちょろちょろ徘徊していたところ、ふっ、とひらめいてしまった。カルパッチョに似ている。刺身にドレッシングなどをかけたあれ。カラバッジョカルパッチョ、カルパッチョカラバッジョ。もしやカルパッチョの由来はカラバッジョなのではないか。いやそうに違いない。

カラバッジョはもともと地名なので、少なくともそっちに関連しているのではないか。これはすごいことに思い当たったぞとほくそ笑んだ。「カルパッチョ-カラバッジョ説」、グフグフ。

さっそくウィキペディアで調べてみると、カルパッチョの由来はイタリアの画家カラバッジョとあるではないか。オー、おれのひらめきも捨てたもんやないな、とにんまり。で、改めてページをよーく見てみると

1963年(1950年の説も)、ヴェネツィアでのヴィットーレ・カルパッチョ生誕500年回顧展の期間中に、同地のレストラン「ハリーズ・バー」で考案された料理との説も知られている。

ヴィットーレ・カルパッチョ?カラバッジョではなくカルパッチョ?なんじゃそりゃ?ややこしいことするなよな、自分の早とちりを棚にあげて悪態をついてしまった。有頂天のあまり目が曇っていたようだ。そうか、同じイタリアの画家といってもカラバッジョ(Caravaggio)じゃなくカルパッチョ(Carpaccio)だったのね。そのまんまの名前の画家がいたんじゃない。

ここで前説を撤回します。定説は「カルパッチョ-カルパッチョ説」。ヴェネツィア派の画家ヴィットーレ・カルパッチョの絵画は美しい赤と白の対比が特徴らしく、その色合いが料理のカルパッチョに通じているらしい。

下図は彼の代表作『聖ウルスラ伝』の中の一つ『巡礼者たちの殉教と聖ウルスラの埋葬聖ウルスラ』。「美しい赤と白の対比」かどうかはよくわかないけれど。

Vittore_Carpaccio

まったくの見当違いがこっそり恥ずかしいのだけど、ぐるっと回ってなんか近いところに着地した。まんざらでもなかったな、と一人悦に入らなくもない。

ちなみに、本来のカルパッチョは魚ではなく牛肉を使うらしい。またハリーズ・バーはヘミングウェイも贔屓にした超有名店だとか。

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