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感奮の青春日記『マイ・ドリーム』

      2017/09/16

マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝奮えた。

これほど心にしみ込んでくる本に、そうそう出会えるものではない。不覚にもたびたび涙した。『マイ・ドリーム―バラク・オバマ自伝/バラク・オバマ/ダイヤモンド社』は2008年私のベスト1である。それどころか、オールタイムのベスト10にランクインしそうである。なんともすばらしい青春日記を与えてくれたことに感謝する。

ここに記したのは、私のうちなる旅の記録である。それは、父親を追い求め、アフリカ系アメリカ人としての人生に現実的な意味を求めた青年の心の旅だ。

オバマは、自分とは何者かを理解するために、家族を置き去りにして去っていった父親を追い求める。自分の特殊な出自、境遇を受け入れるためには、父親を通して、もしくは父親に反射して自分を見つめる必要があったのだ。彼の理性が父親を必要としたのである。
一方、彼は、溢れるほどの情緒を母親から授かっている。

もしも母が病魔に襲われ他界すると知っていたなら、私の元を去ってしまった父親に思いを寄せるのではなく、いつも私のそばにいてくれた母への感謝の気持ちを綴ったかもしれない。

理性と情緒とが彼の思索と行動とを支え、ついには大統領へと導いたのだと思いたい。
この本が『ハーバード・ローレビュー』初のアフリカ系アメリカ人編集長の著作だとしてももちろんすばらしいが(この場合私がこれを手にする可能性は0に近かったであろう)、著者が後のアメリカ大統領だと知った上で読めば、その10倍、いや100倍感動できる。また、彼をリーダーに選んだアメリカ国民をちょっぴり羨ましくも思う。

最後に覚めた感想を一つだけ。著者にとって運命としての幸運をあえて指摘するとすれば、白人の母親に育てられたことではなかろうか。

 - 社会, 読書