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『いますぐ書け、の文章法』はダントツの書き方本

      2017/09/16

いますぐ書け、の文章法 / 堀井憲一郎 / ちくま新書
いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)

これまで手にしてきた中でダントツすごい書き方本。というか異彩を放ちまくっている。机の左袖に常置していて、すでに3度読み返した。これからも事あるごとに何度も繰り返し読もうと決めているくらいすごい。

本書で説かれているのは、不特定多数の人の目に触れる文章で読者を獲得するための文章術。目的は特化されています。しかし「こう書け」と文章テクニックを教示するハウツーでもなければ、「これがうまい文章のお手本だぜ」といった美文披露でもない。書き手に意識変革を迫るのだ。プロ(いい文章)とアマチュア(ダメな文章)とでは書く前に勝負がついている。それは文章に向き合うときの考え方が根本的に違うから。意識を変えなければいつまでたってもものにならないよ、と。

変えねばならない意識は1点のみ。
「読んでいる人のことをいつも考えて書け」
なんです。これだけ。簡単?いえいえ。
こう言われてよーく考えてみると、読んでいる人のことをいつも考えて書くのがいかに難しいことか。たいてい自分のために書いていることに気づくわけです。

読者のために書くとはどういうことか、どうすればよいのか。著者は手を変え品を変え、上から下から斜め右手前45度から、さまざまな視点で説明してくれます。それも思いっきり意表を突く表現で。
「いますぐ書け」「自己表現したい人は文章書きになれない」「辞書は引くな」「踊りながら書け」「友達をたくさん作れ」などなど。
その真意は本書に当たって確かめていただくしかない。
一つネタばらしをすると、「辞書は引くな」というのは書くときは辞書なんかで言葉を調べてちゃいけないということ。辞書は読むときに徹底的に引くものだってこと。

典型的なアマチュア書き手のぼくには、グサグサきました。うん、意識を変えよう。ただ、生半可なことでは意識は変えられない。だから繰り返し繰り返し読むことにしたんです。忘れないために。

そしてもう一つ。最初の方で、本書はうまい文章のお手本を紹介するものではないと書きました。けどこれ、半分当たっていて半分間違いです。本書自体がうまい文章のお手本となっているんですね。

で、この記事の文章、これで読んでいる人のことを考えて書いたのかって?道のりは遠いのです。

 - 社会, 読書