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『ミュシャ展』@国立新美術館を観てきたよ

      2018/01/12

国立新美術館で開催中の『ミュシャ展』を観てきた。『草間彌生 わが永遠の魂』を観たら、こちらも見逃すわけにはいかない。2Fに上がるとミュシャ展。なお、『わが永遠の魂』のチケットがあると観覧料が100円引きになります。

ミュシャ展入口

展覧会概要はオフィシャルサイトから抜粋。

アール・ヌーヴォーを代表する芸術家の一人、アルフォンス・ミュシャは、オーストリア領モラヴィア(現チェコ)に生まれ、27歳でパリに渡り絵を学びました。34歳の時に、女優サラ・ベルナール主演の舞台「ジスモンダ」のポスターを手がけ、一夜にして成功をおさめます。華やかで洗練されたポスターや装飾パネルを手がける一方で、ミュシャは故郷チェコや自身のルーツであるスラヴ民族のアイデンティティをテーマにした作品を数多く描きました。その集大成が、晩年の約16年間を捧げた画家渾身の作品《スラヴ叙事詩》です。巨大なカンヴァスに描かれた20点の油彩画は、スラヴ民族の苦難と栄光の歴史を映し出す壮大なスペクタクルであると言えます。本展はこの《スラヴ叙事詩》をチェコ国外では世界で初めて、全20点まとめて公開するものです。パリで活躍したミュシャが《スラヴ叙事詩》を描くに至るまでの足跡を約100点の作品を通じて辿りつつ、これら幻の最高傑作の全貌を一挙、紹介します。

まずは「スラヴ叙事詩」。Eテレの日曜美術館でも取り上げられていて、なんかすごそうだぞと心して来たのだが、やはり実物は圧巻。そもそもデカい。でも迫ってくるような威圧感はないんだな。どこまでも穏やかというか落ち着いているというか。大きさにはやはり意味があって、その空間、時間(東欧であったり13世紀であったり)に居るような感覚を与えてくれる。スラヴ人は自分たちのアイデンティティをどのようにして守ってきたか。それを大画面の歴史的な場面を通じて表現する。ミュシャの溢れんばかりの意欲が伝わってくる。どれも見ごたえがあるが、あえて選ぶとしたら「イヴァンチツェの兄弟団学校ークラリツェ聖書の印刷」が好きかな。20作品の中でいちばん日常を感じられる。左手前方には老人のために聖書を読む青年が描かれていて、本人がモデルとも言われている。

ミュシャ イヴァンチツェの兄弟団学校

「ジスモンダ」をはじめとするサラ・ベルナールのポスターシリーズはほんときれい。当時はさぞ新鮮だったのだろう。彼女が惚れ込んだのもわかるなあ。これらのイラストっぽい作品を仕上げるまでには、植物などの細密なスケッチがあったそうだ。彼の体の中で実物画像がイラスト風に変換されて
いたのだろう。そう言えば、「スラヴ叙事詩」の中の人物は、モデルの写真をもとに一人ひとりを描いたのだとか。

ミュシャの作品は全体を通して色が変わらない。赤も黄も、青も緑も、生涯を通してどれも彩度の低い落ち着いた色調を愛したんだな。

13時頃入館、14時半頃退館、およそ90分の鑑賞。壮大なスラヴ世界に浸ることができた。

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