神の音楽『ケルン・コンサート』
2022/03/27
子供の頃、親が懐メロ番組を喜んで観ていたのが不思議だったが、今や立場が完全に入れ替わった。小生の場合、歳をとってきて新しい曲にほとんど興味を示さなくなったのは、若い頃触れた曲ですでに音楽を楽しむ心は充分満たされていて、今更新しい曲を追加する必要などないのが理由だろう。はたちやそこらの子供に、愛や人生を歌われても、おじさんにはちょっとねえ。
そんなわけで、昔買ったCDを今でも何度も何度も聴くことになる(プレイヤがないのでLPはもう聴けない)。そんな中で、別格の一枚がある。
『ケルン・コンサート / THE KOELN CONCERT』/キース・ジャレットだ。
ユニバーサル ミュージック クラシック (2003-04-23)
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買ったのはいつごろだったか、もう忘れてしまったが20年ほど前のような気がする。このアルバムはキース・ジャレットがチャールス・ロイドのグループを離れ、ソロ活動を行うようになった初期のもので、アルバムタイトルどおり1975年1月、ケルンでのコンサートライブ録音。1時間超にわたる即興演奏(インプロヴィゼイション)は圧巻としか言いようがない。
アルバムの印象を一言で表現すると「輝く透明感」かなあ。物質的な透明ではなくて、宗教画が放つ光が届いてくるような精神的な透明感(うーん、語彙が貧弱すぎてうまく表現できないや)。そしてこのアルバムを何度も聴いてしまう理由のひとつは、聴く時間帯を選ばないことでしょうか。朝は清々しさを感じさせてくれ、昼は適度なパッションを。そして静かな夜はリラックスさせてくれる。オールマイティ。
巷では音楽の神がキースをして奏でたとまで言われているキース・ジャレットの演奏。同じ時代に生まれてきて、彼の演奏を体験できたことを幸せに思う。