美味なスイーツ 『阪急電車』
2017/09/16
『阪急電車』、これはスイーツですね。さらに絞り込めば和菓子、見た目きれいな京菓子の6個詰め合わせといったところ。普段僕の読むものは苦かったり渋かったり、それどころかよく噛まないと味がしないので、この甘味にホッとしました。
本作は『図書館戦争』で人気作家となった有川浩の10作目。単行本は2008年の刊。阪急今津線の宝塚~西宮北口間を舞台に、各駅ごとに次々とリンクしていくラブストーリー集。元カレの結婚式への討ち入りを果たした翔子、くだらない男から逃れようとするミサ、うまーい具合に男を引きつけていくユキと美帆など、登場する女性たちがみな凛としているので上品な甘さに仕上がっています。「女性が書く魅力的な女性に男はたいして魅力を感じない」という説を僕は持っているのですが、この作品に関する限りそれは訂正しておきます。それぞれの恋愛がことごとくいい感じになっていくのもほのぼの感があってよしです。
作品から話は逸れるけれど、阪急電車には昔お世話になったものです。千里にいた子供の頃は千里線、高槻に越してからは京都線が生活線。たまに神戸線や嵐山線、宝塚線も利用したけれど、今津線には乗ったことがなかったなあ。
さてさて、4月公開の映画も楽しみです。中谷美紀が翔子役、戸田恵梨香がミサ役、宮本信子が時江役と、原作のイメージと照らし合わせてなるほどと思えるいいキャスティングじゃないかなあ。