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世の中には2種類の人間がいる。計算する人と計算しない人だ。『ホワット・イフ 野球のボールを光速で投げたらどうなるか』

      2017/09/16

世の中には2種類の人間がいる。計算する人と計算しない人。エラトステネスは紀元前3世紀の大昔、地球の大きさを計算した。1862年、ウィリアム・トムソンは地球の年齢を計算した。

ランドール・ マンローも根っからの前者である。なんでも計算してみないと気が済まない。計算が楽しくて仕方がない。運営するウェブサイトで、読者からの突飛な思いつきに対して、科学と計算を駆使して全力回答する。『ホワット・イフ 野球のボールを光速で投げたらどうなるか』はその書籍化。そこにはサブタイトルとなっている他に、
・地球が自転をやめたのに、大気だけが元の速度で運動し続けたらどうなる?
・使用済み核燃料プールで泳いだらどうなる?
なんて質問がある。答えは読んでのお楽しみ。堅苦しい科学書ではまったくない。軽やかな口調でジョークを欠かさず、ちゃんとオチも忘れない。ぼくが一番笑えたのは、「チャレンジャー海淵から水を抜くと、地球はどう変化しますか?」に対する答えだったりする。計算することは実に面白い。

そして、計算は科学に不可欠な要素だ。科学に基づいて計算し、その正誤を判定するのも科学。ちなみに、エラトステネスの計算結果は驚くほど高精度で、トムソンの計算は全くの見当違いだった。マンローの計算がどうかは検算してみないとなんとも言えない。

計算が大切なのは、なにも科学に限ったことではない。TEDに登場したマンローは、Google が保有するデータ量(極秘!)を嬉々として計算する(なにかの役に立つとは思えないが)。秀吉も、曽呂利新左衛門の米粒の数をちょっと計算してみれば、恥をかかずに済んだのに。計算の魅力は、予想もしていなかったことがわかったりすること。役に立つことも多々ある。計算すればわかることすら計算しないのはもったいないのである。

本書に登場する質問もかなりぶっ飛んでいるが、世の中で究極の途方もない問いは「宇宙はどのようにして誕生したか」だ。物理学者たちは日夜それを計算している。

ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか / ランドール・マンロー(吉田三知世 訳) / 早川書房
ホワット・イフ?:野球のボールを光速で投げたらどうなるか

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