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気負わない万年筆 『パイロット キャップレス』

      2016/07/04

字を書く道具がいろいろある中で、取っつきにくさナンバー2が万年筆である。手に入れるところから、高価であったり売り場の威圧感であったりのハードルが、万年筆にはある。また使う段になっても、キャップを外し尻に差し、一息おいておもむろにペン先を紙に置くといった気負いが生じる。ある種の儀式のようなものだ。ぼくが今持っているのは唯一ペリカンのスーベレーンM600で、これはピストン吸引式なものだからインクを補充するにも一手間要って、その動作までも儀式めいている。どうしても気負ってしまう。

とはいえ、やはり万年筆には魅力がある。世には万年筆愛好家もいらっしゃるが、ぼくなどはまったくそれではないので、研ぎも装飾もインクも、うんちくにはちんぷんかんぷんである。ただただ紙を、インクの濃淡のある文字で埋めていくのが心地よい。それだけ。でも気負ってしまう。

そこで少しでも万年筆の垣根が低くなるのではと、パイロットのキャップレスが思い浮かんだ。その存在は前から知っていたけれど、急に無性に欲しくなってきた。欲望が枯れないうちにと、冬の銀座を一目散に伊東屋へ。
で、買っちゃいました、「パイロットキャップレス伊東屋限定モデル」。一年間のご褒美も兼ねて。ペン種はF、ボディ色は始めから決めていたディープイエロー。カジュアルでポップ。気分が高まるね。金運が巡っては来ぬかと淡い期待もこもっている。

pilot capless

このパイロットキャップレス、何が良いかというと「ノック式万年筆」なのである。キャップがなくて、尻のノック部を押すと中からペン先がニュッと出てくる。早い話ノック式ボールペンみたに、ワンノックでサッと書き始めることができる。他の万年筆についてまわる儀式性のほとんどの部分を取り払ってくれるわけ。ボールペン感覚の動作で、書くときはしっかり万年筆。これってすばらしい。

pilot capless2 pilot capless3

ちなみに、伊東屋限定モデルはペン先が違う。一番安いタイプFCN-1MRの通常品は特殊合金なのに対して、この限定モデルは18金。こんなモデルがあるとは知らず、ペン先に拘るつもりはなかったのだが、売り場で書き味を比べてしまうとやはり金がよい。なめらかさが全然違う。限定モデルは少々お値段アップなのでちょっと悩んだ末、エイッと決め。足を運んでよかったわ。

pilot capless

さっそくガシガシ使い出しています。予想してたとおりに使い心地よい。

あっ、取っつきにくさナンバー1は筆、毛筆ね。

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