すぐびん

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ねぐせ

      2016/06/18

「かおをあらってはをみがこうっと」
まだ少しねむたい目をこすりながら、ダイちゃんはせんめん所へ行きました。水いろの歯ブラシをとろうとしたときです。かがみにうつったじぶんのかおを見てびっくり。右がわのかみのけが、ねこのしっぽのようにピョーンとはねていた。
「へんなのー」
クルッとなったかみのけをひとさし指ではじくと、ピョヨーンとゆれました。なんどはじいてもピョヨーン。
「へへ、おもしろい」

学校について、うわ目づかいでかみのけをさわってみると、まだピョーン。
ニコニコしながらなんどもかみをさわっていると、うしろのせきのミカちゃんがいいました。
「ダイちゃんねぐせ。かっこわるーい」
ほかの女の子もこっちを見て、くすくすわらっているような気がしてきました。
ダイちゃんは、立ったかみのけを右手でずっとおさえていました。

よるになって、
「ダイちゃん、そろそろねるじかんですよ」
おかあさんがいいました。
「きょうは左をむいてねようっと」
ダイちゃんは、あしたはねぐせにならいぞと、右のかみをしっかりおさえてねむりました。

つぎのあさ、ベッドからとびおきたダイちゃんは、せんめん所へいっちょくせん。こわごわかがみを見たらまたびっくり。こんどは左がピョコンとはねていた。
「こんなんじゃ学校にいけないや」
かがみには、ダイちゃんのがっかりしたかおもうつっていました。

ダイちゃんは、つうがくぼうをしっかりかぶって学校へ行きました。いつもだったら、ヒーちゃんやカズくんとふざけながら歩く学校までのみち。でもきょうは、ぼうしの中が気になってしかたがありません。

学校につきました。ソーッとぼうしをぬいで、左のあたまをさわってみたら、かみのけがピョコン。
さんすうのじかんもせいかつのじかんも、きゅうしょくのときだって、頭の中はずーっとかみのけのことばかり。

またまた、よるになりました。
「きょうは上をむいてねてやるぞ」
ダイちゃんは、じっとてんじょうをみてねようとがんばりました。でもなかなかねむれません。ひつじをかぞえて、ようやくいつのまにかねいってしまいました。

ダイちゃんは、いつもより一じかんもはやく目がさめました。ぐずぐずしているばあいじゃありません。かがみにちょっこうです。
きょうふのしゅんかん。かがみのまえで目をひらいたら、なんとねぐせがありません。
「やったぜ」
とうれしくなって、ベッドにもどろうとしたそのときです。よこをむいたら後ろのかみのけがビロンとはねていた。ダイちゃんはなきだしそうになりました。

あさごはん。
元気のない大ちゃんをみて、おかあさんがたずねました。
「ダイちゃん、どうかしたの」
「ほら、こんなにねぐせが」
トーストかた手に、おとうさんはいいました。
「男の子がそんなこときにするな」
ぼくの気持ちをぜんぜんわかっちゃいないんだから。
おかあさんはドライヤをもってきて、かみをきれいにしてくれました。

学校からのかえりみち。ダイちゃんは、かんがえこんでいるようす。
どうしてピョンピョンなるんだよ。
すわってねようか。そんなことしちゃねむれない。
おかあさんがきれいにしてくれるのはうれしいけれど、いそがしそうでわるいよな。
ウーン、ウーン。
「あっ、そうだ!」
家についたダイちゃんは、なにやらあわててとびだしていきました。
とこやの大きなかがみの前で、ダイちゃんがニコニコ。
ダイちゃんは、まるぼうずになりました。
ジャリッ、ジャリッ。

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