ワクワクする世の中の秘密 『17歳のための世界と日本の見方』
2017/09/16
これは実に役立つ本だ。『17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義/松岡正剛/春秋社』は帝塚山学院大学での1年生向け講義「人間と文化」をまとめたもので、世界と日本との文化・宗教・思想の秀逸な教科書となっている。
本書の特徴は、
- 内容が基礎レベルであること。
- 人類誕生から17世紀頃までの長い時間軸での通史であること。
- 西洋、東洋、日本の3本柱であること。
- 文化に焦点をあてていること。
の4点だ。これらの特徴によって本書は、社会、芸術、芸能、自然科学、工学、など様々な物事を考える際の幹となり得る。
特徴で述べたように、内容は高度ではない。高校の社会の教科書から得られる情報+αレベルだ。タイトルの『17歳のための』とあるのだから。ただしそこはさすが松岡氏、世界史、日本史、倫理社会(私が高校生のときの科目)が見事に編集されている。
松岡氏の史観が正しいのかどうか、それを判断できるような知識を持ち合わせていないのでなんともいえないが、まずは松岡氏の編集を受け入れてしまおう。その後、自分なりの考えでこの幹を太らせ、必要に応じて修正していけばよい。
主題からはずれるが、印象に残った話の一つを紹介しよう。イエス・キリストが精力的に活動したのが5年間ほどで、その間のことを詳しく知っていたのは十数人の弟子だけだったという史実その他を踏まえて名言が記されている。
何かをおこしたければ、最初の十人をまず作るべきなんです。そしてそのコア・メンバーとともに五年を集中するべきです。それ以上はいらない。
「何事も5年10人」、貴重な提言ではなかろうか。
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