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精緻な幻想に酔う 『ロクス・ソルス』

      2017/09/16

まいった、ぶったまげた。

何を血迷ったか、『ロクス・ソルス』を読んでみたのである。レーモン・ルーセルなんてこれまでまったく知らなかったわけだが、巡りめぐって行き着いたamazonの紹介文を目にして、気づいたら注文ボタンを押してしまっていた。その紹介文がこれ。

ブルトンが熱讃し、レリスが愛し、フーコーがその謎に魅せられた、言葉の錬金術師レーモン・ルーセル。言語遊戯に基づく独自の創作方法が生み出す驚異のイメージ群は、ひとの想像を超える。―パリ郊外はモンモランシー、天才科学者カントレルの奇想の発明品が並ぶ広大なロクス・ソルス荘へ、いざ、―。
―「BOOK」データベース

ブルトンもレリスも知らない。でも、なんか「スッゴイ」ということだけは伝わってくる。中でも、「ひとの想像を超える」「天才科学者」「奇想の発明品」の文字に引き寄せられたに違いない。恥ずかしながら、これが小説だとも思わなかった。

本が届いた。ロクス・ソルス荘に恐るおそる足を踏み込んでみた。すると、そこに並べられているのは到底あり得ない発明品であった。そしてそれらが動作する幻想的な光景が繰り広げられていた。しかし実在しないそれらの描写はこれでもかと書き込まれ、実に緻密で超リアル。なに、超リアル?ということは直訳するとシュルレアル?そうか、これがシュルレアルだったのか。生まれて初めてシュルレアリスムをかじってみたわけだ。

カントレルに導かれ、ロクス・ソルス荘の中を移動する。次々とぶっとんだ(これは失礼、凡人には決してたどり着けないであろう天才によって思索し尽くされた)情景が、あたかも目の前に実在するかのように脳内にイメージされてくる。これがなんとも心地よい。あり得ないのに心地よい、この感情はどのようにして生じてくるのだろうか。少なくとも、凡人の私がここに現れる情景を自分で作ることは不可能だが、超人・天才の脳に現れたものをちょっと垣間見ることはできるということだ。

心地よいと言いながら矛盾するようだが、話は結構えぐい。この気色悪さはどこから来るかというと、発明品の多くが人体に関係しているからだ。いきなり様々な色の「歯」でできたモザイク画を見せられる。そして頭蓋に液体を注入することで死者が蘇る。こんなえぐい幻想も、乾いた記述で語られる挿話だから受け入れてしまうのかもしれない。

夜になり、ロクス・ソルス荘の散策が終了した。頭の中はグニャグニャになっていた。放心状態。酔った。

ロクス・ソルス荘を彷徨ってみることをお勧めする。

ロクス・ソルス/レーモン・ルーセル/平凡社ライブラリー
ロクス・ソルス (平凡社ライブラリー)

 - 小説, 読書