すぐびん

読書や文房具のことについて書いてるブログです

検索

幾何ってなんか懐かしい 『美の幾何学』

      2017/09/16

美の幾何学―天のたくらみ、人のたくみ / 伏見康治、安野光雅、中村義作 / ハヤカワ文庫NF〈数理を愉しむ〉シリーズ
美の幾何学―天のたくらみ、人のたくみ (ハヤカワ文庫 NF 370 〈数理を愉しむ〉シリーズ)

「美」「幾何」「安野光雅」と、心くすぐられる3つの単語が目に留まったのが読んでみたくなった理由。なかなか楽しかった。

物理学者、数学者、画家、お三方が幾何の楽しさを語る鼎談。紋や文様の対称性に関するおしゃべりが中心となっている。これはこれで面白いのだが、話の合間に「テキスト」と称してちょっと詳しい解説がなされているのもありがたい。基本的なことがよくわかるから。例えば「テキスト3」では寄せ木細工の作り方が解説されていて、なるほどなあという感じ。解説をトレースするとこんな模様が作れます。

寄せ木細工

 

僕は絵心がないのでこんな単純な幾何模様しかできないが、センスのある方なら、こんなのをベースにして面白いものが描けるんじゃないかな。

あと豆知識として、

  • 対称性の型は全部で17種類。
  • 日本の伝統的な文様として、七宝繋ぎ、雷文、紗綾形、籠目、青海波、千鳥、麻の葉、桧垣なんかがある。
  • 1種類の立体で空間埋め尽くせるのは正六面体とアルキメデスの14面準正多面体。

などをチェック。
ただし、「アルキメデスの14面準正多面体」という言い方は正しくなくて、正確には「半正多面体」とつっこんでおく。「切頂八面体」という名前もついている。

後半では、幾何の美しさをみんなで礼賛し(代数非難)、「幾何をもっと教育に取り入れるべきだ」なんて話になっていく。本書の性格上やむを得ない展開ではあるが、僕としては幾何も代数も美しいと思うのだけれど。簡単な例でいえば、円はその形自体美しいと感じるし、方やx^2+y^2=r^2も美しいと思うわけ。中学生の頃は数学の試験の最終問題にたいてい幾何の証明問題があって、結構好きだった。一方で、デカルト座標系を習った時には感激したもんだ。どちらもかっこいいということ。とは言え、高校以降は代数系が圧倒的に主流になっちゃうので、図形をにらんで考えるってのをもう少し楽しんでも良いのかもしれない。面積や体積を求めようとして、反射的に積分しちゃうような方は読んでみてはいかがでしょうか。原本は1979年刊の中公新書。

ついでに若干付け足すと、本書、鼎談メンバーに安野さんが加わっていることでやはりグッと面白くなっている。学者さんだけではつまらなかったに違いない。ただ安野さんがせっかくボケているのに、他のお二人がツッコミがなくスルーされているところが多々あったのは残念だ。

 - 自然科学・応用科学, 読書