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わかりやすさは絶品、そしてニュートラルなのもうれしい『日銀を知れば経済がわかる』

      2017/09/16

日銀を知れば経済がわかる / 池上彰 / 平凡社新書
日銀を知れば経済がわかる (平凡社新書 464)

金融というのは僕のような素人にはわかりづらい。例えば、「ゼロ金利政策」「量的緩和政策」はニュースなどで毎日のようにお目にかかる言葉だ。これらは結果として金利をゼロにしましょう、市場に出回る金を増やしましょうということは意味しているが、実際に何が行なわれているのかはなかなかわからない。そこで『日銀を知れば経済がわかる/池上彰/平凡社新書』を手に取ってみた。さすが池上さんである。僕レベルが日銀を知るには必要かつ充な内容だった。

本書は日本銀行とは何ぞや?をやさしく解説した一冊。同じような内容をテレビでご覧になった方もいらっしゃるはず。ざっとこんな内容だ。

はじめに 未曾有の金融危機に立ち向かう
第1章 そもそも金融とは何か
第2章 日本銀行は「銀行の銀行」だ
第3章 日本銀行は「政府の銀行」だ
第4章 日本銀行は「発券銀行」だ
第5章 紙幣はいくらでも発行できる?
第6章 日銀はこうして誕生した
第7章 「公定歩合」はなくなった─金融政策の仕組み
第8章 日銀の政策委員会とは
第9章 ゼロ金利政策で悪戦苦闘
第10章 景気の動向を常に監視
第11章 FRBは「アメリカの日銀」
第12章 金融グローバル化時代の日本銀行
おわりに 日銀は「奴雁」たりうるか

僕が気に入って、超お勧めしたくなる理由は3つ。

  1. とにかくわかりやすい。リーマンショックなど具体的なトピックスを挙げ、歴史的な経緯も交えながら日銀の仕組みや仕事をこんなにも平易に解説できるとは。一つひとつの説明が「腑に落ちる」。
  2. 池上さんらしく、氏の主張は控えられているので、極めてニュートラルな解説となっていること。日銀を非難するものでもなければ、擁護するものでもない。たんたんと、「こうですよ。こういうことなんですよ」と解説に徹している。これって初心者には大事なポイントだと思う。
  3. とってもお得な一冊だということ。巻末に主要参考文献として30冊が挙げられている。本書は、池上さんがこれらの文献に目を通した上で抽出した最大公約数をと考えてよい。30冊のエッセンスが一挙に手に入る。ありがたいに尽きる。

さて、2.で述べたように、著者ご本人の意見はほとんどないのだが、一箇所、氏の意見が述べられている箇所を見つけた。それは、量的緩和政策が景気対策に効果はなかったという指摘に対して、

金融機関の当座預金には膨大な残高があるという安心感が、金融不安の激化を抑え、結果として景気悪化を食い止める効果があったのではないかと私は考えています。量的緩和は積極的な景気対策には結びつかなかったけれど、金融不安を食い止める効果はあったと思うのです。

と反論しているものだ。どちらが正しいのか僕には判断する知識はない。ただ、池上さんが敢て発言すると重みがあるなあ。

普通の人なら、まずはこれ一冊で金融関連ニュースの理解が高まると思う。もっと早く読んでおけば良かった。注文をつけるとすれば、索引が欲しかった。

 - 社会, 読書