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「対等な日米関係」なんてあるはずがない 『日米同盟vs.中国・北朝鮮 アーミテージ・ナイ緊急提言』

      2017/09/16

日米同盟vs.中国・北朝鮮 アーミテージ・ナイ緊急提言 / リチャード・L・アーミテージ、ジョセフ・S・ナイ Jr、春原剛 / 文春新書
日米同盟vs.中国・北朝鮮 (文春新書)今回紹介するのは『日米同盟v.s.中国・北朝鮮 アーミテージ・ナイ緊急提言/リチャード・L・アーミテージ、ジョセフ・S・ナイ Jr、春原剛/文春新書』。ご当人たちの口から日米同盟についてこんな話が聞けるとは、いやー実に面白かった。

春原氏がアーミテージ、ナイ両氏にインタビューする形で進められる鼎談をまとめたもの。アーミテージ、ナイ両氏とも日本では有名だが、帯の紹介文を引っ張ってきておこう。

リチャード・L・アーミテージ(元国務副長官)
1945年マサチューセッツ州ボストン出身。
ブッシュ政権で国務副長官を務めた共和党知日派のご意見番。
国防戦略の専門家。ベトナム戦争に従軍した軍人でもある。

ジョセフ・S・ナイ Jr(ハーバード大学教授)
1937年ニュージャージー州出身。
アメリカを代表するリベラル派の国際政治学者。民主党知日派の重鎮で、カーター政権で国務次官補、クリントン政権で国防次官補を務める。

アメリカの対日政策専門家はジャパン・ハンド、あるいはジャパン・ハンドラーズと呼ばれ、その中でも有力な彼らが、日本、日米同盟、中国、韓国、北朝鮮について、もう好き放題言っちゃってます。春原氏が絶妙に話をふるものだから、アーミテージなんて「そうです!」「その通り!」を連発。

本書の内容を強引にまとめると、アメリカがアジア戦略を考えた場合、日韓中どこに軸をおくのかが問題となるわけで、お二人の主張は「そりゃ日米同盟でしょ」ということ。韓国は休戦中で危なっかしいし、共産主義の中国は今のところ論外。そして日本は言うことをよくきくというのが一番大きい理由だろう。

個々の意見では、アメリカ人の考えをたっぷり拝聴させていただける。これが面白い。いくつかを羅列すると、

  • 「対等な日米関係」なんてあるはずがない。世界一の軍事力、経済力を持つアメリカと対等になれると思っているのか。
  • 対等になりたければ核武装して、独自で外交するんだな。
  • 小沢は中国しか見ていない。けしからん。
  • 「東アジア共同体」などと寝ぼけたことを言っている。もしアメリカをのけ者にするのなら報復する。日本には高くつくだろう。
  • 広島、長崎に原爆を落としたことは絶対に謝らない。なんで謝らなきゃいけないんだ。

などなど。

これらは当然の主張で、彼らは自分たちアメリカの得になるから日本と手を結んでいるだけだけであって、得にならなきゃいつでも手を切るし、潰しにかかるわけだ。ただ、これだけはっきりと言いたい放題なのがすごいし、読まされる日本人にしてみればスカッとするのではないか。

日本としても、日本の得になるからアメリカとつき合うのだということを国民に明確に伝えるべきだ。少々困ることもあるかもしれないが、金で用心棒を雇うのが得策なんだと。まさかアメリカに対抗できる軍事力を早急に備えるわけにもいくまい。日本憎しの韓中とも簡単には手を組めまい。それとも丸腰でもてあそばれるがままになるのかと。ただし用心棒との付き合いは慎重にお願いしたいものだ。

本書は露骨な日米同盟宣伝書だが、それがあだになって反米に振れることが少し気がかりにはなる。ちなみに、春原氏にはその名もズバリ『ジャパン・ハンド/文春新書』という著作もあるが(僕は未読)、発言の生々しさはこちらが上だと予想する。

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