持つべきものは師匠 『プロフェッショナルを演じる仕事術』
2017/09/16
自分を成長させるための秘訣の一つ、それは師匠、広い意味で尊敬する人を持つことだ。そんな「目指す人」がないと、不幸は言い過ぎかもしれないが「苦労するよ」ということ。目標があれば迷いは少なくて済む。それがなければ自分で試行錯誤しながら進んでいかなければならない。
でも目標があったとしても、それは必要条件の一つ。ことはそう簡単には進まないのである。僕にも尊敬する人はいるけれど、この歳になってもとてもたどり着けそうにない。あこがれだけで、本気で追いかけるエネルギーも策も足りなかったことが大きな原因だろう。そんな僕がようやくわかってきたこと、もっと若いころに知っていればと悔やまれる方法論を説いてくれているのが『プロフェッショナルを演じる仕事術/若林計志/PHPビジネス新書』だ。目指すプロに追いつき追い越すためには具体的にどう学べばよいのかを教えてくれる一冊。
本書のキモは3層構造のフレームワーク(型)が紹介されていることにある。行動フレームワーク、思考フレームワーク、精神フレームワークの3層。順に深くなっていく。そしてこれをU字にたどるのだ。まずは目標とする人の行動を真似、思想を理解し、精神を吸収する。そうして深層に達した段階で自分らしさを加え、思考、行動フレームワークへと浮上する。このルートをたどれば、自分がなりたい何者かになるための適確な行動がとれることになるだろう。型破りは、一旦型をまとわなければ破れない。
さらに具体的には次の4つのステップが示されている。
- 師匠を見つける
- すべて受け入れる覚悟をする
- インフラを整える
- できるだけそのままマネしてみる
それぞれを噛み砕けば、自分に合う正しい師匠を見つける、バカになって心を解放する、身を置く環境を変える、ゴタゴタ言わずに一挙手一投足を真似る、ということ。この先に「自分らしさ」が、そして成功が待っている。
最後に練習問題。成功した経営者なんかの言葉としてよく耳にする「トイレを掃除すると儲かる」、これって本当か?正解は「儲からない」である。行動フレームワークだけでは何の意味もないこと、でたらめな因果関係が平気でまかり通っていることを示している。
少し以前から、僕はバカになって徹底的に人まねをするようになった。だから本書は我が意を得たりなのである。本書を通じて、正しくプロフェッショナルを演じてみてはいかがだろうか。
本書はレビュー+さんよりいただきました。いつもありがとうございます、御礼。