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『天冥の標5 羊と猿と百掬の銀河』で混迷はますます深まる

      2017/09/16

天冥の標Ⅴ 羊と猿と百掬(ひゃっきく)の銀河 / 小川一水 / ハヤカワ文庫JA
天冥の標Ⅴ: 羊と猿と百掬(ひゃっきく)の銀河 (ハヤカワ文庫JA)

全10巻中の第5巻。ふぅー、ようやく前半戦終了か。それでも示されるのはまだパーツに留まっている。うっすらと「これはリンクなんだよな」と思わせるようなところもあるにはあるのだが。ただし、とてつもなく大きな展開を見せたことは間違いない。

今回のお話は2本立て。交互に語られる、宇宙(地球外)での農業とノルルスカインの創世記。

まずは農業。舞台は2349年の小惑星パラス。零細農業を営むダック・ヴァンディと娘ザリーカの、光と空気と水と土を操りながら野菜を育てる仕事ぶりが克明に描かれている。ド派手なSFであろうとも、人間食べなきゃならんわけで、食物を作ることが必要不可欠だってことを改めて教えてくれる意味ある物語となっている。もちろんそこには《酸素いらず》らとの関係など前4巻とのつながりを織り込まれているし、今後重要なリンクとなるであろうキーワードとして、ザリーカ、レッドリート、なんてのが登場する。さらに冒険あり、父娘葛藤ありととても贅沢な一巻。小重力での料理の一幕も面白かったなあ。

もう一つのノルルスカインについて、これは難しい。物語の根幹をなしているのであろうが、まだ理解が追いついていない。しかし、ここでの驚きはなんといってもオムニフロラの登場だろう。全宇宙制覇をたくらむ超存在の姿が見えてきた。そしてオムニフロラは太陽系へその触手を伸ばす。この先、人類の生き残りをかけた戦いが繰り広げられるにちがいない。ますます期待が高まってきたぞ!

 - 小説, 読書