『人生が変わる2枚目の名刺』で元気にいこう
2017/09/16
人生が変わる2枚目の名刺 パラレルキャリアという生き方 / 柳内啓司 / クロスメディア・パブリッシング
現状に飽き足らず「おれには、わたしには、もっとやりたいことがあるんだ!」というエネルギッシュな方にまずは読んでいただきたい。守りでも逃げでもなく、攻めの1冊だから。
本書『人生が変わる2枚目の名刺/柳内啓司/クロスメディア・パブリッシング』は、本業以外にもう1つ活動の場を持つ「パラレルキャリア」でいこうじゃないかと勧める。パラレルキャリアの何が良いかというと、
- 本業という生活の基盤があるから、純粋に自分がやりたいことを始められる、
- 人生のリスクを分散できる、
- たくさんの人脈、縁を得ることができる、
などなど。本書には、こんな「人生が変わる」以上に「人生がより楽しく」なりそうなメリットの紹介に加え、パラレルキャリアを成功させるヒントが詰まっている。そして読みやすい
「パラレルキャリア」を「本業と副業」ととらえた場合、それ自体は珍しいものでも新しいものでもない。「二足のわらじ」という江戸時代からの古い言葉があるくらいだ。堺屋太一や小椋桂といった大物がパッと思い浮んだりもする。
ではなぜ今「パラレルキャリア」なのか、である。著者は3つの主要因として、
- ITの進歩による個人活動コストの低下、
- 会社の短命化にともなう単一組織帰属の不安定化、
- 「成功」の定義に関する常識の変化・多様化、
を挙げている。もっともで直接的要因だ。そしてこれらに加えてもう一つ、案外重要な変化は、「モノ」よりも「つながり」を重視する考え方の変化ではなかろうか。
「モノ」よりも「つながり」、をもう少し浮かび上がらせる意味で、『週末起業/藤井孝一/ちくま新書』(2003)を引合いに出して比較してみよう。その間約10年の時間差がある。どちらも「本業以外に副業を」という共通したメッセージが込められているのだが、『週末~』がタイトルからしてどちらかと言えば「収入」に軸足をおいているのに対して、本書は「つながり」や「縁」に幾分重心をシフトしている。タイトルの「人生が変わる」とは、こんな変化も含めてということだろう。ついでに余計なことを言っておくと、ページから伝わってくる印象は、圧倒的に本書の方が明るい。
兎にも角にも、パラレルキャリアを目指そうという著者のメッセージは、これからの生き方として一つの答えだし、先ず以て元気をくれる。ただし元気なことは良いのだが、その裏返しとして多くのエネルギーを必要とする。確固たる本業プラスワンなのだ。本業で満たしきれないエネルギーを注ぐ器として副業がある。
これを自分に当てはめてみるに、パラレルキャリアに魅力を感じ憧れるものの、本格的な活動をするほどのエネルギーを持ち合わせていないことがわかってきた。本業を無難にこなしつつ、このブログを運営することで世間に向かって囁くのが精一杯かなと。なもんでオフ会用の遊び名刺なら持っているが、今のところそれが限界で、まあそれでもいいんじゃないかと思う。自分の容量の範囲で、たとえば趣味を充実させていくことも意味あるよなと。そんな自分を省みて、本書を徹底して活用するには少なからぬエネルギーが必要だと気付いたので、冒頭「エネルギッシュな方に読んでいただきたい」「攻めの1冊」と書いたわけだ。
本書はクロスメディア・パブリッシングさんより頂戴しました。多謝。