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考えるきっかけになる良質なインタビュー 『知の逆転』

      2017/09/16

知の逆転 / 吉成真由美編、ジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、ジェームズ・ワトソン、 / NHK出版新書
知の逆転 (NHK出版新書 395)

豪華である。よくもまあこれだけそうそうたる大御所たちへのインタビューを取りそろえられたものだ。知の巨匠たちとはいえ、一癖も二癖もありそうな老人たちから価値ある意見を引き出すインタビュアー、吉成真由美氏の力量に感服する。

ジャレド・ダイアモンド、ノーム・チョムスキー、オリバー・サックス、マービン・ミンスキー、トム・レイトン、ジェームズ・ワトソンの6氏が専門分野(進化生物学、言語哲学、神経学、人工知能、情報工学、分子生物学)をコアとして、現在の問題への対し方を語る。また共通の質問、「インターネット社会」、「科学と宗教」、「これからの教育のあり方」、「若者たちへの推薦図書」が用意されていて、それらを通して彼らの考え方の共通点や相違点が浮かび上がらせているところも興味深く、統一感を与えている。

たとえば「科学と宗教」については、ぼくも関心があるので面白く読めた。

宗教が説明できることは何もありません。全ては、既に科学で説明できているか、これから科学で説明できるものかのいずれかになります。科学というのは、世界を理解し説明する上で現在最上の方法です。宗教は説明するための材料と方法を何も提供できません。
― ダイアモンド

科学はこういう問題(文化的な結束、人生の意味、あるいは「なぜ自分は生きているのか、死んだわが子にもう一度会えるのか」といった問い:すぐびん補)に対して、何も提供できません。科学は素晴らしいものですが、人間の問題について何も言うべきものを持っていません。
― チョムスキー

私自身は特に形而上的な欲求を感じてはいません。宇宙の星や、原子、動物、人間、音楽、人間の行動などの説明のために、宇宙の外にいる存在をあえて必要とはしないからです。
― サックス

ダーウィンが与えた最大の影響は、「ダーウィンが入って、神が出ていった」ということです。実にシンプルです。神が必要なくなった。
― ワトソン

乱暴にまとめてみると、説明すべき対象によって神の必要性は異なる、科学者は特段神を必要としていない、となるだろうか。

全体として、深く理解しようとするとかなりのポテンシャルが要求されるが、吉成氏の編集によって、なんとか表層的になぞることはできた。本書が彼らの著作、思想のダイジェストにもなっているので、これで下ごしらえしておいて著作に挑むのもいいかもしれない。

 - 自然科学・応用科学, 読書