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なんかヤフーのことが好きになっちゃう 『爆速経営 新生ヤフーの500日』

      2017/09/16

爆速経営―新生ヤフーの500日 / 蛯谷敏 / 日経BP社
爆速経営―新生ヤフーの500日

設立から16年、ヤフージャパンは大企業へと急成長を遂げた。しかしそれゆえに攻めを忘れ、大企業病ともいえる守勢に入り込んでいた。そんな時、一人の男が立ち上がった。社長に就任した宮坂学は優れた力を持つ同士を呼び寄せ、かつての攻めの姿勢を取り戻すため闘いに挑むのだが……。
本書の内容をこんなふうに書くと、池井戸潤ばりの企業小説のようでしょ。

もちろん本書は歴としたビジネス書である。新経営陣の抜擢、理念の再定義(課題解決エンジン)、目標設定(201X年までに営業利益を2倍にする)、戦略化といった、新生ヤフーで推し進められている(今も現在進行形だ)一連の経営改革について、取材を通して紹介されている。本来はそれらを自分の仕事の参考にするための書物のはずだ。でもぼくは、物語を読むように楽しめた。

というのも、著者が描く新生ヤフーはとにかく明るい。経営陣がエネルギーに満ち溢れているからだろう、本書にも勢いがある。読んでいるこっちもなんかワクワクしてくるのである。ストレートにワクワク本として面白い。そんな訳で、なんか小説を読んでいるかのようにページをめくっていった。中でもお気に入りは、69ページからの「大切なのは、誰をバスに乗せるか」の段。宮坂新社長が自分の方針を形にしていくための同士として、経営陣を一人ひとり集めていく。なんか七人の侍のような。こんな楽しみ方ができたのも、ぼくが「IT業界」にも「経営」にも疎いからこそなのかもしれない。面白かった。

さて読後、ちょっと冷静に考えてみると、本書で賞賛気味に扱われている宮坂氏の改革は正しいのかどうか、まだわからない。社長就任から1年後の実績として挙げられているのは、株価2倍、営業利益10%増。安倍政権発足からの景気の高揚感が追い風になっている。例えば日経平均も1.7倍になっている。

yahoo株価

経営陣交代のタイミングが実に良かったのだ。言い換えれば、下り坂の16年間を確実な成長で凌いできた井上前社長の功績は絶大だったのだ。そんな訳で、爆速経営の正誤はこれから後に問われることになる。人ごとで申し訳ないが、楽しみにしておこう。

後半なんやかんや言いましたが、読んでると、じわじわっとヤフーのことが好きになっちゃう、そんな1冊でした。

この本はレビュープラスさんから頂戴しました。好著、ありがとうございました。

 - 社会, 読書