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受験勉強の気分転換におすすめの岩波ジュニア新書5冊

      2022/05/04

岩波ジュニア新書5冊

岩波ジュニア新書は、そうそうたる著者たちが若い人に向けて書き下ろした名著ぞろいです。どれを手に取っても新しい気づきがあるでしょう。ここでは、そんな中からあえて5冊を選んで紹介します。
さすがに選ぶ基準がないと無理なので、一つ枠を設定しました。それはこの記事のあざといタイトルになっている「受験勉強の気分転換におすすめの」です。

ここで念を押しておきますが、受験に役立つとは言っていません。気分転換です。本音は気分転換じゃなくて、このような読書が本来の勉強に近いんだと思います。でも差し迫った状況にある受験生はそれどころではないでしょう。

ひたすらテクニックをみがく受験勉強は、それはそれで面白いこともあります。スコアが上がるとうれしい。変化、成長が数字で実感できます。ただ、それだけを続けていると息が詰まる。頭が固まってくる。そんなときはちょっと刺激を変えて、頭を揺さぶってみる。塩や砂糖が固まってしまった容器をコンコンと叩けば、バラっと砕けて下に積もって、また容量が空くようなもんです。そして本末転倒なのですが、ひょっとしたら受験に役立つかもしれないという下心もないわけではない。

各書の紹介は、著者ご自身が著書にこめた思いを本文から抜書きしています。あと目次。それがいちばん内容が伝わるのではと考えたからです。

いずれも超一流の研究者の名講義です。思いっきり頭を揺さぶられてみてください。

1. 『フランス革命 歴史における劇薬』遅塚忠躬(西洋史学者)著

青銅時代にさしかかった皆さん。人間と生まれたからには、人間らしく、充実した人生を生きようではありませんか。充実した人生、それは、感動することの多い、涙を失うことのない人生ではないでしょうか。これから私は、明治の日本よりももっとはげしい劇薬を飲んで苦しんだフランス革命時代のことを皆さんにお話ししようと思います。このつたない書物を読んで下さる皆さんが、革命の偉大と悲惨について、またその時代を生きた人間そのものの偉大と悲惨について、なにほどかの共感と感動をおぼえて下さるならば、私にとってそれ以上の幸福はありません。

[目次]
序―若い読者の皆さんへ
第1章 革命の偉大と悲惨
第2章 フランスではなぜ劇薬が用いられたのか
第3章 劇薬はどんな効果をあげたのか
第4章 劇薬の痛みについて考える
第5章 人間の偉大と悲惨
あとがき
読書案内
年表

2. 『砂糖の世界史』川北稔(歴史学者)著

歴史を学ぶということは、年代や事件や人名をたくさん覚え込むことではありません。いま私たちの生きている世界が、どのようにしてこんにちのような姿になってきたのかを、身近なところから考えてみることなのです。みなさんがこの本を読んで、一見したところ、おたがいに何の関係もないような世界各地の人びとの生活が、相互に深くかかわりあっていることを理解してくだされば、著者としてはとてもうれしく思います。

[目次]
プロローグ 砂糖のふしぎ
第1章 ヨーロッパの砂糖はどこからきたのか
第2章 カリブ海と砂糖
第3章 砂糖と茶の遭遇
第4章 コーヒー・ハウスが育んだ近代文化
第5章 茶・コーヒー・チョコレート
第6章 「砂糖のあるところに、奴隷あり」
第7章 イギリス風の朝食と「お茶の休み」―労働者のお茶
第8章 奴隷と砂糖をめぐる政治
第9章 砂糖きびの旅の終わり―ビートの挑戦
エピローグ モノをつうじてみる世界史―世界史をどう学ぶべきか
あとがき

『砂糖の世界史』世界史の地力をつける「歴史の見方」

3. 『故事成句でたどる楽しい中国史』井波律子(中国文学研究者)著

神話・伝説の時代から清王朝の滅亡に至るまで、無数の故事成句が生まれ、中国の歴史を豊かに彩ってきました。……。各時代ごとに故事成句を選び出し書き進めてきましたが、これはなかなか大変な、しかしとても楽しい時間でした。

[目次]
第1章 「覆水盆に返らず」―名君と暴君の時代
第2章 「呉越同舟」―乱世の生きざま
第3章 「水清ければ魚棲まず」―統一王朝の出現
第4章 「破竹の勢い」―英雄・豪傑の時代
第5章 「春眠暁を覚えず」―大詩人のえがく世
第6章 「山中の賊を破るは易く、心中の賊を破るは難し」―故事成句をあやつる人びと
おわりに
年表
参考文献

4. 『古典和歌入門』渡部泰明(日本文学研究者)著

この本は、古典の和歌について、若い人、とくに高校生の人たちを念頭に置きながら、その魅力や味わい方を、できるだけわかりやすくお話しようとしたものです。歴史に残る数々の和歌の中から、これこそ和歌だ、というような優れた作品を、四十八首選び抜き、それぞれの歌の魅力について書きました。作者はどういう気持でその歌を詠んだのか、いったい何を表現したかったのか、自分が高校生になったつもりで、その自分に語りかけてみたのです。

[目次]
はじめに―ようこそ、和歌の世界へ
1 四季
2 恋
3 雑―世の中・人生
4 祈り
収録和歌一覧
あとがき―和歌の一生

5. 『漢文の読みかた』/奥平卓(中国文学者)著

漢民族の古典である漢文が、どのようなものの感じ方・考え方を表わし、それが日本人の言語文化にどのような影響をあたえたかを知るのが、漢文学習の窮極の目標といえるでしょう。……。興味をひかれるような作品があれば、手当たりしだいに乱読していただきたい。それが学問の入口に立つということなのでしょう。本書がその道しるべのひとつともなれば、これ以上の喜びはありません。

[目次]
はじめに
1 初歩の散文―基本的な語法を中心に
2 中級の散文―副詞・接続詞などを中心に
3 詩を読む―さまざまな詩体
字句さくいん

『漢文の読みかた』漢文を学ぶ上で忘れてはならない一言

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