「感謝の気持ちを子供に教えるコツ」雑感
子育ては悩みが尽きない。健康な子、やさしい子、かしこい子、親それぞれこんな子に育って欲しいという願望はいろいろでしょうが、「感謝できる子になって欲しい」と願う親は多数、それもかなり多数、のはず。というのも、ニューズウィーク日本版1月28日号に「感謝の気持ちを子供に教えるコツ」なんて記事が掲載されていたものだから。でそれを読んでみたら、なんだかなあ、なのですね。
まずはその記事を手短にまとめてみます。
甘やかし過ぎると、わがままで感謝できない子供になっちゃうかも。「甘やかし過ぎ」の例として、
- 構い過ぎや過保護。親が世話を焼き過ぎると、子供は「自分は駄目だ」と感じ、わがままで不機嫌な子にあるかも。
- 親が十分なルールを決めなかったり決めたルールを守らせないのはだめ。
- 親が子供を褒め過ぎるのもよくない。
など。
では自分の言動が甘過ぎるかどうか、どうしたらわかるのか。その4つの自己チェック項目は、
- 親の言動が子供が年齢相応のことを学ぶのを阻害している。
- 家族の時間や資金、スペースなどを必要以上に子供に割いている。
- 子供よりも親にメリットがある(親の言い訳)。
- わが子のためにはなっても他人や社会や世界に迷惑をかける。
だそうだ。
そして最後に、まずは親が手本を示すこと。親ができないことを子供に期待できるわけがないからね。
どれも心理学者先生のご意見なので、ピンときたかたは参考にされてもよいかもしれない。
ただね、天邪鬼のぼくとしては、これって「なんだかなあ」と思っちゃうわけです。その「なんだかなあ」には二つあります。
まず正しいのか
人がどう育つかなんてそんなに簡単に割り切れないんじゃないかということ。因果関係を明確にするのは簡単なことじゃない。それも人の気質や性格を。理科の実験じゃあるまいし。でんぷんにヨウ素液を加えると青紫色になるとか、塩酸にアルミニウムを漬けると水素が発生するとか、こうすりゃこうなるってもんじゃないでしょうに。人の気質や性格は科学するにはあまりにも複雑だ。正解にたどり着くにはまだまだ時間がかかる。早急で安易な結論を導くのは危険なんじゃないかなあ。
なんでも親の責任か
もう一つは、親が努力すれば立派な子に育つ、と読み取れること。これが正しければ、だめな子供(ここでは感謝しない子供)の親は努力しなかった、ということになる。そこまで親を追い詰めなくてもいいんじゃないのかなあ。つらいよ、親は。それにこんなんこと言っていると「自分が悪いのは親のせいだ」ってなっちゃうよ。かえって困った事態になりはしないか?逆効果でしょう。
ゴチャゴチャ書きましたが、要するに子育て、教育をさもわかったように扱うのは危なっかしいと思うのです。