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アルコール温度計

      2022/04/16

日本の最高気温記録は江川崎の41.0℃だとか、コーヒーを淹れる湯の適温は80〜85℃だ、いや90〜96℃だとか、身の回りにはけっこう温度が登場する。

いざその温度を実際に測るとなると、真っ先に思いつくのはアルコール温度計だろう。棒状のガラス管に赤い液体が入ったあれね。理科の授業や寒暖計で使うやつ。

細かいことを言えばアルコール温度計というのは俗称。より正確には赤液棒状温度計、JISでは水銀温度計とひっくるめて一般用ガラス製温度計と呼ばれている。というのもあの赤い液体は一般にアルコールじゃないから。昔はアルコールだったが、今では赤く着色した灯油が使われている(でもなぜ赤なんだろうねえ。見やすいから?青でも黒でもいいと思うんだけど)。

赤い部分の上端の目盛を読むと、今日は32℃もある、なんてことが即座にわかる。なんでわかるのかといえば、物質ーー今の場合は灯油、もしくはアルコールーーの体積(かさ)が温度によって変化するから。さらに温度で体積が決まるから。たいてい温度が上がると体積は増える(膨張する)。アルコール温度計をお湯に漬けると赤い液が体積の増えた分だけピュッと登る。止まったところの目盛がそのときの温度。

温度が変わったときに体積が大きく変わってくれた方が温度を測りやすい。温度が1℃変わったときに体積が変化する割合を熱膨張率という。水と灯油とを比べると、水の熱膨張率は約0.0002、灯油は約0.001、灯油のほうが約5倍も変化する。それだけ液面が上下に大きく動くので、目盛の間隔が大きくできて読み取りやすくなるというわけ。
また、温度によって熱膨張率があまり変わらないというのも大事。これだと目盛を均等に振れる。熱膨張率が均一でないと温度によって目盛の間隔が変わっちゃう。

普通のアルコール温度計で0℃以下から100℃以上まで測れる。精度は±1℃ほど。これが1本300円くらいから買える。普段の生活で温度を測るのならこれで充分だね。

ところでこの熱さや冷たさ、暑さや寒さといった感覚を数字で表せるってのは意外とたいへんなこと。そもそも「温度」とは何か、ってのを決めなくちゃならないし。今みたいな感じで温度を測れるようになったのは300年ほど前。こうして測る温度は「経験的温度」と呼ばれる温度。

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