なるほど日本語は天才である 『日本語は天才である』
2017/09/16
日本語は天才である
柳瀬尚紀
新潮文庫
少しでもよい文章を書こうとすれば、日本語の勉強が必要だ。小説は文字で書くのであるからして、いくら素晴らしい発想があったとしても、最終的にはそれを言葉で記述しなければならない。小生の場合、最も自由に使える言語は日本語だから、日本語の記述方法を技術としてもっと身に付けねばと感じている。
そのような目的の参考になるのではと今回読んだのが、
『日本語は天才である/柳瀬尚紀/新潮社』。快楽を感じさせてくれる一冊だった。自慢げで嫌味っぽい薀蓄本でもなければ、伝統を振りかざすような復古右より本でもない。氏の日本語に対する愛情や尊敬の念がにじみ出ているからだろう。翻訳、回文、同音異義語、ルビ、方言、罵倒語など、日本語が天才である所以をこれでもかと披露してくれる。目次は以下のとおり。
第一章 お月さんはなぜ怒ったのか?
第二章 天才と漢字の間柄
第三章 平和なことば・日本語
第四章 「お」の変幻自在
第五章 かん字のよこにはひらがなを!
第六章 あずましい根室の私
第七章 シチ派VSナナ派 真昼の決闘
第八章 四十八文字の奇跡
あと、嫌味にならない程度に誤用薀蓄をメモしておく。
- (誤)抱腹絶倒 ⇒ (正)捧腹絶倒
- (誤)片腹痛い ⇒ (正)傍いたし
- (誤)木で鼻を括る ⇒ (正)木で鼻をこくる
- (誤)喧喧諤諤 ⇒ (正)喧喧囂囂、侃侃諤諤
- (誤)禁漁 ⇒ (正)漁にはリョウという読みはない
- (誤)独壇場 ⇒ (正)独擅場