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夢に向かって踏み出せないなら、まず不安の出処を知っておこう 『不安を希望に変える』

      2017/09/16

夢があるのにその方向に一歩が踏み出せない、成功したいと思っているのに躊躇してしまう、多くの人がそんな経験をするのではないでしょうか。不安が足を引っ張ってしまう。『不安を希望に変える ハーバード流7つのレッスン/スリニバサン・S・ピレイ(吉田利子 訳)/早川書房』は、その不安がどこから来るのか、正体を知った上で対処していきましょうと説いてます。

不安や恐れはどこから来るのか?それは扁桃体が発信するシグナルが原因。この扁桃体ってやつが厄介なんですね。脳の中の方にある扁桃体は、敏感に異常を察知しては「ヤバイぞ、ヤバイぞ」と騒ぎ立て、無意識のうちに体をコントロールしてしまう。
もちろんこれは生物にとって極めて重要な機能で、何かが近付いてくるのを見て、それを認識・理解して、それが危険なものだと判断して、逃げる行動に移る、なんて悠長なことをやっていたら命がいくつあっても足りない。だから扁桃体は体に直接危険信号を送る。意識する間もなくです。

だから、もし何だかわからない不安や恐怖に襲われたなら、扁桃体が勝手に騒いでいるのだと思ったほうがいいんですね。扁桃体よ少しはおとなしくしろ、と意識するだけでも不安を和らげる効果がある。本書ではさらにエクセサイズとして、瞑想、関心の方向転換、心理学的ツールの三つが提案されています。ただしこの瞑想、心理学的ツールは、実践するとなるとそれなりに訓練が要りそう。関心の方向転換、すなわち関心を前向きなことに向けることが、まずは取っ掛かりとなるでしょう。作り笑いも繰り返せば本物の笑いに近くなる。

さて、このような内容はそう目新しいものではありません。僕の大好きな『ツキの大原則』でも、扁桃体(扁桃核)の機嫌をよくすることの重要性、その超具体的な方法がみっちり説かれています。『ツキの大原則』の方が圧倒的に分かりやすい。ただ欠点は、分り易すぎて「ホンマかいな」という気になること。本書の著者はハーバード・メディカル・スクールの准教授なので、信頼性が高く感じられるかもしれません。

 

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