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さまざまな文章論が整理されている 『文章のみがき方』

      2017/09/16

文章のみがき方 (岩波新書 新赤版 1095) 文章の極意は、

自分にしか書けないことを
だれにもわかるように書く
- 梅田卓夫

に尽きる。じゃあどうすりゃそういうふうに書けるの?となるとはたと困るわけで、巷に書き方本、文章読本の類が氾濫することになる。私も文章読本、小説書き方本の類に弱い。
『文章のみがき方/辰濃和男/岩波新書』はそんな悩みに応える一冊。こんなの読んでも書けるわけないと思いつつも手が伸びてしまったのだが、かなり気に入った。なぜか?目次は次のようになっている。

I 基本的なことを、いくつか
1 毎日、書く/2 書き抜く/3 繰り返し読む/4 乱読をたのしむ/5 歩く/6 現場感覚を鍛える/7 小さな発見を重ねる
II さあ、書こう
1 辞書を手もとにおく/2 肩の力を抜く/3 書きたいことを書く/4 正直に飾りげなく書く/5 借りものでない言葉で書く/6 異質なものを結びつける/7 自慢話は書かない/8 わかりやすく書く/9 単純・簡素に書く/10 具体性を大切にして書く/11 正確に書く/12 ゆとりをもつ/13 抑える
III 推敲する
1 書き直す/2 削る/3 紋切型を避ける/4 いやな言葉は使わない/5 比喩の工夫をする/6 外来語の乱用を避ける/7 文末に気を配る/8 流れを大切にする
IV 文章修業のために
1 落語に学ぶ/2 土地の言葉を大切にする/3 感受性を深める/4 「概念」を壊す/5 動詞を中心にすえる/6 低い視線で書く/7 自分と向き合う/8 そっけなさを考える/9 思いの深さを大切にする/10 渾身の力で取り組む

いかがでしょうか。どれもこれもあまりに当たり前じゃないですか。新味が見当たらない。なのに何故気にいったのかというと、この本のすごいところは、

 ある日ふと、いままで書き写した言葉のうち「文章論」に関するものだけでも整理しておこうという気持ちになり、散らばっていたものを集めはじめました。さまざまな人の言葉を体系づけて、私の感想を書きそえてみようと思い立ったのは、もう五、六年前です。

この本は、さまざまな方々の「文章論」や「作品」を読み、私がそこから学んだことを記したものです。作家だけではなく、画家や舞踊家の言葉もあります。

という点にある。個人的な文章読本ではなく、様々な文章読本を収集編集したところに価値がある。私の尊敬する向田邦子、村上春樹、夏目漱石のことばもちゃんと拾ってくれている。これ一冊あれば事足りるというわけだ。
集めることは役にたつ、価値を生むということを教えてくれて、振り返るのにとても便利な一冊だと思う。

 - 人文, 読書