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どんなときでも、希望はあっていいと思いますが 『タナーと謎のナチ老人』

      2017/09/16

タナーと謎のナチ老人 (創元推理文庫 M フ 11-3)ローレンス・ブロックの『Telling Lies for Fun & Profit』、『SPIDER SPIN ME A WEB』にはお世話になっている。どちらもエンタテイメント小説の指南書で、これらを参考にするのは彼の「スカダーシリーズ」や「泥棒バーニーシリーズ」がとてもお気に入りだからだ。

本書『タナーと謎のナチ老人/ローレンス・ブロック/創元推理文庫』はそんなブロックの初期の作品、1966年に発表された「タナーシリーズ」第2作だ。

主人公エヴァン・マイクル・タナーは眠らない(眠れない)男。眠らないと何がいいかというと、活動時間が人の1.5倍あるわけで、その時間でむちゃくちゃ勉強できるというわけだ。本作では、そんなタナーがチェコスロバキアに潜入し、監獄で死刑を待つ老人を救出する。ところがである。この老人、ネオ・ナチの活動家で、極めて有害で不愉快な輩なのだ。そんな悪害をまき散らす男を、危険覚悟で独房から奪いだすというミッションを引き受けてしまったタナーは、絶え間なく毒づきながらも、着々と仕事を進める。そんなタナーが美しいヒーローかと言えば、こちらもとんでもない奴である。任務遂行のためには手段を選ばない。嘘をつき、騙し、自分が助かるならだれであろうと(善良な市民であろうと)容赦なく利用する。気分が悪くなるような二人の言動を、読み物だと割り切ってしまえれば、なかなか痛快な物語として楽しむことができる。

テンポの良い展開、気の利いた会話、ちょっと風変わりで魅力的な登場人物など、ストーリーテリングのうまさはさすがブロック。この記事のタイトルは、気に入ったタナーの一言。

(本書は「本が好き!」を通じて東京創元社より献本いただきました)

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