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いかにして自分の頭の中を検索するか 『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』

      2017/09/16

齋藤式知的生産術をまとめた『「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術』は極めてオーソドックス、目新しさはない。だからこそ知的生産の王道を説く一冊と言える。

本書の核心は、

まずは、自分の頭の中を検索せよ

にある。ネットの情報をググるのではない、脳内を検索するのである。人は入力されたものからしか出力できない(人に限ったことではない、コンピュータしかり)。頭にクエリを打ち込み、検索結果をアウトプットする。そのためには頭のなかに数多くの役に立つ情報をインプットしておくことが必要条件となる。

そのための手法として、情報の選び方、本の読み方、記憶の仕方について具体的に説明してくれているのはありがたい。これらについては人それぞれ、自分なりの方法をすでに持っているだろう。私にもある。もしそれで満足しているのなら本書を読む必要はない。もし満足していないのなら、ここは素直に齋藤式を真似てみてはいかがだろうか。キーワードは「自分をくぐらせる」にある。ピンときた情報を自分の中、暗黙知にしみ込ませる。それができてこそ頭の中で検索に引っかかる。

『知的生産の技術』以来、知的生産系の本を数多く手に取って来た。裏を返せば自分の知的生産力に自信がないということだ。本書の内容も、そのほとんどは「知って」いる。そんなことではダメなのだ。頭の善し悪しということにも原因の一つはあると思うけれど、最大の問題は、とことん「やるかやらぬか」ということに尽きる。例えばメモを取ること。私の場合、まだまだ足りない。本書を読んでそれを改めて認識できた。知的生産系の本はもうこれで最後にする。これからは行動だけでよい。

本書は、齋藤孝のエッセンスがつまった一冊と言える。三色ボールペンも、ゲーテも、どこかで見た話だ。その意味でもお得な一冊ではなかろうか。

「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術/齋藤孝/大和書房
「読む・書く・話す」を一瞬でモノにする技術

 - 社会, 読書