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ゴミ焼却施設って、とってもNIPPON 『COURRiER Japon DECEMBER 2009』

      2017/09/16

今年、大分から千葉へと引っ越した。引越しとはなんとも面倒なもので、その原因の大半は持ち物の多さにある。家を片付けていると要るのか要らないのか迷うものが出るは出るは。この際思い切って大量に捨てることにしたので、ゴミ処理場に不要物を持ち込むために何度も足を運んだ。そんなときの感想が、「ゴミ処理場って以外にきれいなのね」だった。

COURRiER Japon DECEMBER 2009そんなことをふと思い出しながら『COURRiER Japon 12月号』のレビューを書き始めている。レビュープラスさんから献本いただくのも3カ月目となった。12月号の特集は「世界をミステリアスに魅了する!宇宙人的NIPPON」。面白く読み進めていったところ、最後に至って“ゴミ焼却施設って日本的要素の集大成ではないか!”と気づかされた。その理由は順を追って後ほど。

まずは特集に収められている18の記事、前半は、鳩山由紀夫、村上春樹、イチロー他、特異点もしくは海外に飛び出していった“個人”を扱っている。内野安打を“セクシー”と表現するイチローらしい一面など、これはこれで興味深いのだけれど、後半になると日本人の平均値もしくは中央値付近の“大衆文化”に関する記事が並ぶのでグッと身近な話題となり面白さが増す。

特に韓国で最近、人気があるのが奥田英朗だ。彼の代表作である『空中ブランコ』は、80万部以上売れ、もうひとつのヒット作『サウスバウンド』も、40万部以上売り上げた。
―「コンテンツ・パワー」

奥田英朗はいいよね。私も大好き!

高級ホテルグループ「ウェスティンホテル」は、低迷する宿泊率の回復を狙って、シャンパンと花束を提供するサービスを日本で始めることにした。これは、ラブホテルのサービスを真似たものだといわれている。
―「“オモイヤリ”」

えー、本当かな?

日本人のスキンケアは、化粧水で肌を柔らかくし、肌の保湿効果を高めるという手法。皮膚の表面を剥がして若い頃の肌を取り戻す米国の発想とは正反対だ。
―「トンデモ美容」

こんなことまで日米正反対とは。

日本の若い女性たちは、「ビッグマック」の誘惑に負けず、毎日「だし」を使った伝統的な料理を食べている。「だし」とは、乾燥させた魚や昆布などを煮出したもので、汁物や煮物など、多くの日本料理に使われている。
―「トンデモ美容」

そうそう、油を使わない「だし」というスープは日本独特のものなんだって。
これらバラエティに富んだ記事に、外から見た日本の独自性にハッとし、ほのかな良さを感じ取ることができる。そして全体を通じての日本らしさのキーワードは、“モノヅクリ”であり“オモイヤリ”であり“カイゼン”であり“セッキャク”。

そしていよいよゴミ焼却の話。最後、18番目の記事が「CO2問題も解決してくれる 悪臭とは無縁の「焼却施設」」だ。豊島清掃工場がレポートされているのだが、この工場すごい。アメリカではゴミの大半が埋め立て処理されるのに対し、日本ではゴミの約3/4が焼却処理される。そのため日本ではゴミ焼却施設が目覚ましい進歩を遂げた。焼却という工程で避けられないCO2の問題はほぼ解決されている。悪臭を出さないようにと、焼却炉は8500℃もの高温で稼働し、さらに工場内の気圧を低く保つことにより、新鮮な空気が取り込まれ悪臭は外に漏れない。210mの煙突を備えて、わずかな有害物質も近隣の高層ビルにかからないようにする。廃熱を利用して温水プールやスポーツジムを運営する。このような取り組みは、まさに“モノヅクリ”であり“オモイヤリ”であり“カイゼン”であり“セッキャク”ではないか。日本らしさのキーワードがこれでもかと如何なく発揮されているのだ!
国内の廃棄物処理施設は2005年度時点で1374施設、私たちの周りに日本らしさの集大成がこんなに散らばっている。日本、なかなかやるじゃないですか。

最後に言い残したことを少々。今月号はいつにも増して読み応えがあった。上記の特集や世界中の貴重なトピックスはもちろんだけれど、「SPECIAL FEATURE ウォール街の崩壊から1年 金融危機とは何だったのか?」に収められた「経済学者たちはなぜ間違えたのか/ポール・クルーグマン」は特にありがたかった。原文を読みたいと思いつつ、力がなくて放っていたのだ。その記事がCOURRiER Japonで読めるとは。こんな場面に出くわせるのもCOURRiER Japonの魅力の一つだね。

(本誌はレビュープラスさんより献本いただきました)

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