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教養も人それぞれ 『ぼくらの頭脳の鍛え方』

      2017/09/16

ブックガイドというものに魅かれる性質である。ブックガイドの楽しみは、あの人はどんな本を推薦するのだろうという興味が一つ、これまで知らなかった本に出くわせる出会いが一つ。そんなわけで、『ぼくらの頭脳の鍛え方―必読の教養書400冊/立花隆・佐藤優/文春新書』にも手が伸びた。

本書、立花・佐藤両氏が教養・読書について語り合いながら、200冊ずつ必読書を紹介してくれるわけだが、読む前に帯のコピーを見て「あれっ」と感じた。

「知の巨人」「知の怪物」が空前絶後のブックガイドを作り上げた。

立花隆と佐藤優とを並列しているのに違和感を覚えたのだ。立花氏を「知の巨人」と呼ぶのはわかるが、佐藤氏が「知の怪物」と呼ばれているとは知らなかった。方や膨大な知識をインプットして新鮮なアウトプットをされてきたが、方や特殊な経験体験を披露するだけのような印象を持っているので。佐藤優からは、私には「知」の香りは漂ってこない。意外な組み合わせにチャレンジしてみましたという企画なのかもしれないし、私の持っている「知」のイメージがずれているのかもしれない。

そんなわけで、お二人の意見の相違を見ていくのも面白い。乃木希典、官僚、堀江貴文、新左翼、勝間和代、パポーなどの評価について大きく異なっている。中でも特に興味深いのは教養の捉え方。立花氏は

「その人の精神的自己形成に役立つすべてのもの」「現代社会を支えている諸理念の総体」大ざっぱな定義ですが。ドイツ語で実学のことを「パンのための学問」と言いますが、教養はパンのための学問ではありません。役には立たないが、「知っていないと恥ずかしい知識の総体」「各界で教養人と見なされている人々と恥ずかしくない会話を持続的にかわせるだけの知的能力」というようなことではないでしょうか。

と言う。これに対し佐藤氏は、

私は少し見方が違いまして、やはり教養は役に立つと思うんです。(中略)弾圧に屈しない力っていうのが、教養だと思うんです。(中略)重要なのは、教養とは、今、自分が遭遇している道の問題にあったとき、そういうことをテキストから読み取れる力だと思うんですよね。マルクス主義、キリスト教という毒薬を解毒する力というのが教養ではないでしょうか。

と反論する。立花氏にとって教養はフォーマルウェア、佐藤氏にとっては武装ということになろうか。なるほどどちらの主張も一理あるが、私は立花派かな。

肝心のブックリスト、以上のような感情も手伝って、私としては立花氏の200冊を参考にしていきたい。たとえこの200冊をすべて読んだとしても「知識」は蓄えられるだろうが、「教養」に変えるためにはプラスアルファが必要だろう。おっと、そんな偉そうなことは、読んでから言うべきだな。

ぼくらの頭脳の鍛え方―必読の教養書400冊/立花隆・佐藤優/文春新書
ぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)

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