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文芸書系の書評ブロガーの強い味方かも『小説の技巧』

      2017/09/16

小説の技巧 / デイヴィッド ロッジ(柴田元幸、斎藤兆史 訳) / 白水社
小説の技巧

これって文芸書系の書評ブロガーが重宝するんじゃないか、と思ったのが『小説の技巧/デイヴィッド・ロッジ(柴田元幸、斎藤兆史 訳)/白水社』。

本書の位置づけは著者自らが「序」で述べている。

本書は文学批評を少しばかりかじってみようかという人のための本であり、拾い読みをしたり、ざっと目をとおす類の本であり、扱ったテーマについての厳密な議論はさておき、小説をよりよく理解し、楽しんでもらうための、そしてこのもっとも多様かつ有効な文学形式における読みの―さらには、もしかしたら創作の―可能性を感じ取ってもらうための本である。

「書き出し」から始まり「結末」で終わる50の美味しそうな技巧が紹介されている。もとは新聞に連載されたものなので、一つひとつ実例を挙げながらわかりやすくは書こうとはしているようだけれど、真面目に読むとなると結構むずかしい。

ロッジ先生に解説してもらいはしたものの、普通の本読みがこれらの技巧を活用できるかというと、そう簡単ではないだろう。小説を読みながら、「これはエピファニーの技巧だな」などといちいち考えていたら、とても小説を愉しめそうにない。少なくとも僕はそうだ。もちろん、これらの技巧を意識することなく自然と感じ取れるようになれば話は別だが、その域に達するにはとても時間がかかると思う。

ただ、面白く読み終わった後で、「なんで面白かったんだろう」って振り返るのには役立ちそうだ。読後にちょっと分析してみる、文学者が研究するようなレベルではないけれど、読んだ小説についてあれこれ思索してみる、ってなときだ。そんな人は結構大勢いるはずだ。そう、例えば文芸書系の書評ブロガー。ちょっと気の利いた書評を書こうと思ったら、本書を参考にしてみてはいかがだろうか。特徴となるポイントを挙げてみる。似たような雰囲気を持つ他書と関連付けて考察してみる。なんて使い方をすれば、本書の価値がさらに高まってくるんじゃないかな。

ということで、最後に50の技巧のタイトルだけでも列挙しておこう。
書き出し|作者の介入|サスペンス|ティーンエニジ・スカース|書簡体小説|視点|ミステリー|名前|意識の流れ|内的独白|異化|場の感覚|リスト|人物紹介|驚き|時間の移動|テクストの中の移動|天気|反復|凝った文章|間テクスト性|実験小説|コミック・ノベル|マジック・リアリズム|表層にとどまる|描写と語り|複数の声で語る|過去の感覚|未来を想像する|象徴性|寓話|エピファニー|偶然|信用できない語り手|異国性|章分け、その他|電話|シュルリアリズム|アイロニー|動機づけ|持続感|言外の意味|題名|思想|ノンフィクション小説|メタフィクション|怪奇|物語構造|アポリア|結末

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