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さあ、のめり込むゾ 『天冥の標1 メニー・メニー・シープ』

      2022/04/16

久しぶりにSFを読んだ。『天冥の標I メニー・メニー・シープ/小川一水/ハヤカワ文庫JA』。僕にとっては初の小川一水だ。上巻ではなかなか世界に入っていけずチビチビ読み進めたのだが……、下巻に入ったらもう止められなくなった。鼻息荒くドドーッと一気にエンディングへ。夜更かししすぎ。僕はコアなSFファンじゃないけれど、いいねえ、これ。

『天冥の標』は全10巻(既刊は3巻)。10巻かけて小川宇宙を描きだそうという壮大なシリーズだ。あとがきで、著者ご本人自身こうおっしゃっている

できることを全部数え上げたうえで、できるかどうかわからないことや、やったことのないことをさらに盛り込んで、この話にしたという次第です。
した、というと時制がおかしいな。これから、する、のだから。
でもこの話の終わりはすでに見えています。そのころにはこの話は、たいしたものになっています。ですので私は、安心して、それまで好き勝手やってこの話を盛りあげていくというわけです。

信じましょう。

さて、本書はそのスタートとなる第1巻。
時は西暦2803年、植民星メニー・メニー・シープを舞台に繰り広げられる一大バトルの中、数々の謎が提示される。謎は今後解けていくはずなので一先ずおいといて、単体のSF活劇としてだけでも充分面白い。

民主主義を装った独裁国家。ユレイン三世が押し進める圧政に耐えきれなくなる市民たち。《海の一統(アンチョークス)》《恋人たち(ラバーズ)》など未来の人間(?)たちが中心となって蜂起し、革命、クーデターが起こる。お決まりっぽい?いやいや、それでいいんです。プロットはわかりやすい方が。最後に「こう来るか!」とちゃーんと驚かせてくれますから心配無用。もちろん、人間や人間でないSFらしい様々なキャラクタが入り乱れ、物語に彩りを添えている。
終着点はまだはるか先。期待が膨らむこと請け合いのイントロダクションです。

10巻出揃ってから一気読みという手もあるけれど、それもちょっときつそうなので順次読み進めていこうと思う。続く2巻の舞台は201X年の近未来(現代?)らしい。時間の流れも思わせぶりだ。

 - 小説, 読書