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セカンドチャンスとコミュニケーションが日本を変える『リスクに背を向ける日本人』

      2017/09/16

リスクに背を向ける日本人 / 山岸俊男、メアリー・C・ブリントン / 講談社現代新書
リスクに背を向ける日本人 (講談社現代新書)

日本人がリスクを避ける傾向は世界一、他の先進国の人たちと比べてずば抜けて高い。この「リスク回避傾向」の原因が、日本社会ではさまざまなリスクが大きすぎることにあるとして、お二人の社会学者による対談が展開する『リスクに背を向ける日本人/山岸俊男、メアリー・C・ブリントン/講談社現代新書』。日本人がリスクを嫌う背景について、とても興味深い話を聞かせてくれる。

本書で語られていることは、普段から僕もなんとなく、うすうすは感じていることだ。でもそれが明確に述べられているので、頭の整理に多いに役に立った。本書のポイントは「セカンドチャンスの必要性」と「コミュニケーション能力の必要性」の二つ。どっちが鶏か卵かは定かではないが、この2点があれば今の日本の閉塞感を払えそうな予感がする。

セカンドチャンスの必要性

日本人がリスクを嫌う原因は、そのリスクがあまりにも大きいことにある。一度失敗したらそれで終わり、もう取り返しがつかない社会なのだから。言い換えれば「セカンドチャンスがない」ということ。下手にリスクなんて背負うわけにはいかない。だから内に閉じこもる。なにもしない。
閉そく感を打開するにはセカンドチャンス、サードチャンスを可能にすることが必要で、そのためには社会制度をそのように変えていくことが必要だ。

コミュニケーション能力の必要性

日本人は、コミュニケーションを「心を通わせる」という意味と捉えている。お互いの気持ちを察するとか気遣いをするということ。一方、国際的なコミュニケーションとは、自分の意図や考えを相手に適切に伝えるスキルなのだ。日本人は相手の気持ちや場の空気に自分を合わせればよいと思っている。アメリカ人などは自分の思いをかなえるために周囲と交渉する。本書の中では、「プロモーション志向」と「プリベンション志向」あるいは「ゲーム・プレイヤー」と「非プレイヤー」という対比が用いられている。ここで「プリベンション志向」「非プレイヤー」が日本人の特徴だ。コミュニケーションの意味をはき違えてはいけない。真のコミュニケーション能力こそ必要不可欠なスキルだ。

以上のような本書で語られている状況は、例えば企業の採用の様子にその典型を見ることができるなあと気づく。新卒一括採用。そして企業が採用に際して重視する要素として、ここ数年「コミュニケーション能力」がトップに挙げられる。おそらくこの「コミュニケーション能力」とは「心を通わせる」を指していると思われる。

新卒採用(2010年3月卒業者)に関するアンケート調査結果/(社)日本経済団体連合会

大企業がこんな状態なのだ。大きな変化を生みださなければならない。

本書の中にはこの他にも「デフォルト戦略」、「統治の倫理」と「市場の倫理」、「武士道」と「商人道」など僕にとって目新しいキーワードが盛り込まれていて、この点も興味深かった。

最後に僕が一番気に入ったフレーズを書き写しておこう。

人生を楽しみなさい。あなたの人生はリハーサルじゃなくて本番なんだから。

 - 社会, 読書