内憂外患 『知らないと恥をかく世界の大問題 2』
2017/09/16
世界の問題を知らなくて恥をかくのは一向構わないけれど、今生きている時代の基礎知識は押さえておきたいと思うので、読みたくなった一冊。
前作『知らないと恥をかく世界の大問題』に続く第2弾。その間1年と4カ月が経過している。『1』から『2』へ、何が変わったのか。
アメリカの共和党と民主党との差異、リーマンショック対策としてのFRBの量的緩和、中国の国体、インドでIT産業が発展した理由、パレスチナ問題など背景の説明が前作とかぶる箇所は結構ある。がそれも已む無し。これだけは知っておいてくださいね、という大事な点は繰り返す必要があるだろう。
そして新たに、オバマ大統領がボルカー・ルールに署名したこと、中国の次期国家主席が習近平となりそうなこと、シェールガスの採掘、COP15・16、ウィキリークスの衝撃、新START、TPPなどが追加されている。
さて、前書と本書とで変化したよなと思えることがもう一つあって、池上さんが厳しくなった、というか苛立ちを押し出すようになったんじゃないの、ということ。コロコロ言うことが変わる政治家(民主党)に対しては「まったく、何をやっているのでしょう。守るべき原則はないのでしょうか」と言い放ち、国民に対しては「まずはニュースに関心を持つ、そして政治家を選ぶ目を養う。この国をよくできるのは、ほかでもない、私たち一人ひとりなのです」と訴える。マスコミに対しては一層厳しい。例えば、
親小沢か反小沢かなど、2010年末の歌舞伎役者の報道とあまり変わりありません。小沢叩きは政治おける“海老蔵”報道です。
と言い捨てている。
いやその通り。こんなマスコミ非難は、ご自身が「都知事選出馬か」などと根も葉もないことを書きたてられたことも一因かも。
有権者、視聴者、読者が変われば政治家やマスコミのレベルも上がってくるかもしれない。上がらなければ早く消え去って欲しいものだ。鬼の首をとったかのように人の失敗をあげつらうだけの政治・報道はいらない。