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『どうして時間は「流れる」のか』な

      2017/09/16

どうして時間は「流れる」のか / 二間瀬敏史 / PHP新書
どうして時間は「流れる」のか (PHP新書)
子供のころ、お化けや幽霊なんてこれっぽっちも怖くなかった。

別に強がりだったわけじゃない。この世にないものを怖がる理由はないな、というひねた子供だっただけ。もちろん怖いものはあった。その一つはブラックホール。宇宙のどこかになんでも吸い込んじゃうものがあることを知ってからという物、ブラックホールのこと、そしてそれに吸い込まれた自分のことを想像すると恐ろしくて眠れなかったもんだ。

今でも宇宙の話が大好きだ。今この時、確かにあるのに、ながめるだけしかできないのに。究極の神秘だと思う。もちろん現代の宇宙物理学なんてぼくなんかに理解できるはずもない。それでも、いやわからないからますますワクワクしてしまう。

そんな宇宙論にまつわる新刊が今手元にあって、少々興奮している。すぐに読みたいところではあるが、それに取っかかる前にちょっと肩慣らしをしておこうかということで本書に目を通してみた。

タイトルに宇宙の文字はないが宇宙論の本。「時間」を考え出すとどうしても「宇宙」のことを考えざるを得なくなるから。なんで時間が存在するのか、宇宙はビッグバンをともなって現れたらしいのだが、宇宙が誕生する前に時間はあったのか、とか。本書はその辺基本的なところを網羅的に紹介していて、熱力学的時間や宇宙論的時間、有名な双子のパラドクス、特にブラックホールについての記述が詳しい。一応、ひも理論やM理論まで押し込めちゃってます。全般的に目新しさはない。時間と宇宙との関連について初めて触れるにはいいかも、です。

と偉そうなこと書いちゃいましたが、「ヘーッ、そうだったんだ」と新しく知ったことも。宇宙のエントロピを考えるとき、「物質は一様に分布するよりも、星やブラックホールになった方がエントロピは高くなる」ということ。重力によってギュッと集まって星になり、熱を大量に放出するからだそうだ。普段のエントロピのイメージとは逆なので、これはポイントだった。

ちなみに、この後読もうとしているのは、アダム・フランクの『時間と宇宙のすべて』。なんと大胆なタイトル。けっこう分厚い。歯ごたえありそう。ではそろそろ取りかかろうかな。

 - 自然科学・応用科学, 読書