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『世界でもっとも強力な9のアルゴリズム』を知って、オーっと驚こう

      2017/09/16

世界でもっとも強力な9のアルゴリズム / ジョン・マコーミック(長尾高弘 訳) / 日経BP社
世界でもっとも強力な9のアルゴリズム

アルゴリズムと聞くと、いつもここからの体操を真っ先に思いつく。などと言ってちゃこのご時世いかんだろうということで、『世界でもっとも強力な9のアルゴリズム』でちょっとお勉強。なんせ「史上最大の発明」なのだから。

ここで扱われているのは、「検索エンジンのインデクシング」「ページランク」「公開鍵暗号法」「誤り訂正符号」「パターン認識」「データ圧縮」「データベース」「デジタル署名」「決定不能性」の9つのカテゴリーに属するアルゴリズム。どれもこれも、コンピュータを使っているとき意識しないうちに利用している、とびっきり重要な技術である。Googleで検索できるのも、ネットショップで買い物できるのも、ファイルを保管・送信できるのも、プログラムをダウンロードできるのも、これらのアルゴリズムのおかげ。twitter、Favebookは?もちろんだとも。言い方が逆か。コンピュータはアルゴリズムでできているのだ。

本書のおかげで、コンピュータが普段から中で何をゴソゴソやってんだろう、ってことがぼんやりとわかりかけてきた。それらのアルゴリズムが発想される瞬間から成長していくまでを、かなり親切に解説してくれていますから。

さらに、「アルゴリズムって何」って人を優しく迎えてくれるのがうれしい。イントロダクションでマコーミック先生はこう言ってくれている。

私は天文学の専門家では決してない。実際、この分野についてはあまり知らないし、もっと知っていればよかったと思っている。しかし、私が知っているごくわずかな天文学の知識のために、夜空を見上げるという経験は少し楽しくなっている。見ていることについて持っている知識のために、驚きとか満足の気持ちが引き出されてくるのである。私が切に願っているのは、この本を読んだ読者がコンピュータを使っているときに、ときどき同じような驚きや満足の気持ちを感じられるようになることだ。

これって、ぼくが本を読む理由を代弁してくれているようでもある。

いろんなアルゴリズムを覗いたところで、本当に著者がいいたかったことは、アルゴリズムってプログラミングのテクニックのことなんかじゃないよ、そんなちっちゃなもんじゃないよ、ということ。アルゴリズムが深くて広い思索の結果(サイエンス)であることを一般の人に知ってもらいたかったんだなあ。そうすればほら、コンピュータに向かったとき、驚きや満足、もっと言えば敬意のようなものが感じられるようになるでしょ。

アルゴリズム、それを研究開発することのスゴさが味わえた。あー面白かった。

 - 自然科学・応用科学, 読書