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科学解説書はもっと読まれるべきだ 『ガリレオの指』

      2017/09/16

ガリレオの指―現代科学を動かす10大理論本の紹介でのっけからこんなことを言っては実も蓋もないのだが、難しすぎて読めなかった。所々面白い記述が出てくるので、最後まで目を通しはしたが。
その本は、『ガリレオの指―現代科学を動かす10大理論/ピーター・アトキンス/早川書房』だ。

全10章からなる大著は、自然科学の世界にパラダイム変換をもたらした理論、すなわち「進化論」「遺伝子」「エネルギ」「エントロピ」「相対性理論」「量子論」などを解説している。理論が登場するまでの歴史と現状そして今後の展望と、それらの解説はとても丁寧だし、読み物としては読みやすい。とは言え各章の核心にせまるにつれて、そして全体の後半に進むにつれてその内容はとても難解で、到底理解が追いつかなくなってくる。自分を基準にするしかないのだが、一応理系の大学院修士課程を終えていてもついていけない。ただし、理解できないから無意味かと言えば、ぜんぜんそんなことはない。少なくとも読み取れるのは、過去の科学者がどう考え、その考えの矛盾をどのように解決しようとしたかはわかるし、今現在、科学者たちは何を目指しているのかは伝わってくるからだ。ひとことで言えば「万物を統一的に記述できる理論の構築」である。本書の終わりに、科学の未解決な問題のうち最も重要なものとしては、宇宙の起源と人間の意識の二つが挙げられている。これは私の感覚とピッタシなのでうれしくなった。「宇宙って何」「脳って何」を特別興味深いテーマだと常々思っているから。
難解だ難解だと書いてしまったが、このような科学解説書はもっと一般的に読まれるべきだ。その理由は二つ。
・私たちを取り巻く世界はまだまだ理解できてはいないことを認識できること。物理を真摯に解き明かしていこうとしている人たちが大勢いるのである。超能力や宇宙人や空飛ぶ円盤など、馬鹿げたことに付き合っている暇はないし、カルトに流れる余裕はないのである。
・学校(高校まで)の数学、理科教育がいかに時代遅れかということを認識できること。高校の理科の授業で教えていることは、せいぜい18世紀の理論である。早い話せいぜいニュートン力学の初歩ですぜ。ゆとりゆとりといいながら、そのニュートン力学の初歩すら理解しない子供が増えてくるのはよいのでしょうか。そんな子供たちの自然科学の知識はアリストテレスと変わらないのではなかろうか。日本は技術立国だそうで(すでに幻想になっていると思うが)、あきれるばかりなのだねえ。

 - 自然科学・応用科学, 読書