あやしい健康情報だと思えるかどうか 『メディア・バイアス』
2022/03/27
本書、『メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学/松永和紀/光文社新書』のタイトルであるメディア・バイアスとは、多種多様な情報の中から自分たちにとって都合の良いもの、白か黒か簡単に決めつけられるようなものだけを選び出し報道するといった、マスメディアによる情報の取捨選択のゆがみのこと。卑近な例でいえば、「午後は○○・おもいッきりテレビ」だ。体に良い食材、調理法などを毎日のように煽っているこのテレビ番組は、情報自体にバイアスがかけられている上に、「みのもんた」というバイアスがさらに加わっている強烈なメディア・バイアス番組なのだ。
メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 (光文社新書)
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松永 和紀
光文社
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著者はそのようなバイアスを科学的データに基づいて検証し、不確かな情報をバッサバッサと切り、メディア・バイアスに騙されないようにしましょうと警鐘を鳴らす。
本書は、本来次のような方に読んでもらうことを目的に書かれている。
- 健康情報番組を参考にしている
- 環境ホルモンは怖いと思う
- 化学物質過敏症が増えてきていると思う
- 食品添加物を口に入れたくない
- 無添加石鹸は体や環境に良い
- オーガニック食品を選んで食べる
- マイナスイオンを発生する家電の方が良い
- 「水からの伝言」に感動した
- 遺伝子組み換え作物は怖いと思う
ただ残念なことに、この手の本は悲しい宿命を背負っている。科学(特に自然科学)を信じる人にとっては当たり前の内容だけれど、科学を信じない人、科学を知ろうとしない人には言っても無駄なのだ。本来読んで欲しい人になかなか読んでもらえないし、読んでも受け入れてもらえないのだ。