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物理学者には見える「モノ」 『宇宙は何でできているのか』

      2017/09/16

宇宙は何でできているのか / 村山斉 / 幻冬舎新書
宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)

「宇宙とは何か」「宇宙はどのように始まり今どうなっていてこれからどうなるのか」「宇宙を支配する法則は何か」など宇宙を完全に理解しようと、物理学者たちは今、素粒子を極限まで追及しているのだという。『宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎/村山斉/幻冬舎新書』は、そんな限りなく大きな問題が限りなく小さな問題と深く深く関係していることを紹介する宇宙物理学&素粒子物理学読み物だ。

本書はとても読みやすく面白い。と言ったって、素粒子物理学がわかるという意味じゃない。僕が魅力を感じた点は二つあって、その一つめは得体の知れない「モノ」が次々と飛び出してくることだ。陽子、中性子、電子まではなんとなく感覚がつかめるが、クォークだのレプトンだの、フェルミオンだのボソンとなるともうついて行けない。ましてやそれらの素粒子に第1世代から第3世代まであるとか、アップとかダウンとか、果ては色が付いているとか言われると、もう何のこっちゃわけがわからない。暗黒物質や暗黒エネルギーなんて、不気味だけれど微笑ましいネーミングのものもある。これらの「モノ」を少しでも理解しようたって僕には難しすぎる。でも、僕には見えないけれど物理学者には見える「モノ」がこの世界に満ちあふれているってことを想像するだけでワクワクしてくるのだ。

二つめは、上と関連しているのだが、本書は素粒子物理学を解説する入門書ではなく、素粒子物理学の「凄さ」を紹介する本であるということ。著者の目的は、素粒子物理学に、そして物理学者たちの取り組みに関心を持ってもらうことなのだ。言い換えれば、著者村山氏の「機構長としての使命感」にあふれた一冊なのである。自分たちはもっともっと先端の研究をしたい、宇宙の謎解明に近づきたい、まかり間違っても予算を減らされるなんてことは絶対避けたい、という切実な気持ちがとても熱い。
このことは、

「このような研究は何の役に立つんだ?」と疑問に思われた方もいると思います。実は私は文部科学省や財務省、また一般の方々から同じような質問を受けることがありますが、いつもこのように答えています。日本人を豊かにするためです」と。

の言葉や、湯川、小柴、小林、益川、南部各先生といったノーベル賞受賞者たちを始めとする日本人物理学者の功績を多々紹介していることからも明らかだろう。
いつの日か、人間が宇宙の全貌を理解する日がやってくれるなんてスゴいと思う。大偉業だよ。本書の印税はIPMUの研究費に充てられるそうなので、本書を購入するだけでも素粒子物理学者たちへのささやかな応援になるはずだ。

蛇足1

すべての星と原子を足しても宇宙全体の重さのほんの4%。 では残り96%は何なのか?

という帯の惹句、本文の冒頭に登場するこのつかみに僕はいきなりつまずいた。すべての星と原子を足した重さ(エネルギ)をどうやって測ったのか?宇宙全体の重さ(エネルギ)をどうやって測ったのか?

蛇足2
できれば本書の前に『宇宙創成』を読んでおくと、科学者と宇宙とのかかわりを予習できるので良いと思う。

 - 自然科学・応用科学, 読書