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孫正義の中を流れているもの 『あんぽん 孫正義伝』

      2017/09/16

あんぽん 孫正義伝日本の社会に風穴を開けようと、金(カネ)を丸めた豪速球を投げ込んでくる。僕が持っている孫正義の印象だ。そのパワーに感嘆し、凄い男と思う一方で、好きか嫌いかとなると手放しで好きとはいえない微妙なところ。

そんな孫正義とは何者なのかを執拗に掘り起こしたのが『あんぽん 孫正義伝 /佐野眞一/小学館』。読みだしたら先が気になって気になって、結局一気読み。

のっけから、孫正義には「いかがわしさ」がまとわりついていると著者は言う。冒頭述べた「好きか嫌いかとなると微妙」というのは、このいかがわしさに近いのかもしれない。僕が感じることをもう少し丁寧に言うと、彼の「自分以外はみんなバカ」といった態度、少なくともそう感じさせる言動、そしてそれを支える自信、信念はどこからくるのだろうかという疑問だ。

孫のいかがわしさはどこから来るのか。著者は、ルーツを遡って孫の今を読み解く手法を採る。父母、祖父母、親類に対して真正面からの取材を試みている。中でも父、三憲に対する取材は執拗だ。正義伝というより三憲の評伝なのではないかと思わせるくらい密着し、姿をあぶりだす。もちろんそこには在日の辿った境遇がつまびらかにされている。

このような出自から読み解く方法は、ある意味正しいやり方とも思える。自分に置き換えても、僕に最も大きな影響を与えたのは両親だ。遺伝を通して、一緒に暮らした生活を通して、圧倒的な影響を受けている。人は突如として現れたのではないのだから、そこだけを切り取っても見えるものはたかが知れている。孫正義の才覚は父から譲り受けたものに思えてならない。

問題提起された「いかがわしさ」の根源については、人それぞれの読み方があるだろう。ただ、本書を通して、孫正義がグッと人間味を帯びてくるのは間違いない。そのいかがわしさが今の日本には貴重なのだという著者の思いには同意だ。

孫正義が本当のところ何を目指しているのか。ひょっとしたら本人にもわかっていないかもしれない。

「しかし、佐野先生の取材力はすごいですね。僕も随分勉強になりました」

この一冊には本人も知らない孫正義が描かれている。

 

あんぽん 孫正義伝

あんぽん 孫正義伝

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佐野 眞一
小学館
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