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2010年のベスト本候補 『The Art of Non-Conformity』

      2017/09/16

The Art of Non-Conformity: Set Your Own Rules, Live the Life You Want, and Change the World / Chris Guillebeau / Perigee Trade
The Art of Non-Conformity: Set Your Own Rules, Live the Life You Want, and Change the World

「Lifehacking.jp」で堀さんが紹介していた『The Art of Non-Conformity/Chris Guillebeau/Perigee Trade』がちょっと気になったので読んでみた。これがなんと大正解!苦手な英語にもかかわらず、鼻息を荒くして読み進んだ。2010年「影響を受けた本」部門第1位だな。

本書は、様々な事業やアフリカでの医療NPO活動を経てきた著者が、「まわりに縛られない生き方」「自分のための人生」を力説した一冊。
これだけを聞くと、またか、と思われる方もいらっしゃるだろう。このようなお題は、すでにこれまで多くが語られているからだ。古くはウエイン・W・ダイアーなんかが頭に浮かぶ。僕もこの類の本を何冊か手に取ってきた。けどなかなか自分を変えられなかったくちだ。だから告白すると、本書を読む前はそれほどまでには期待していなかったのだ。軽く刺激を受けてみようか、くらいの。

ところがそんなもんじゃなかった。ガツンガツンと頭に響く感じ。本書はとても生々しくて、実践的なのだ。従来の本はたいてい「自分のための人生」とは何か、それはどんなに素晴しいかを説くものだったと思う。しかし本書は、それらに加えて「自分のための人生」をおくるには何が必要でどうすればよいのかが教示されているのだ(タイトルをよく見たらちゃんとそうなっていた)。概念ではなく具体的な行動。

まわりの期待に左右されず自分の決定にしたがって生きて行く、これが難しいのは「不安・恐怖」がつきまとうからだ。さらに具体的に言うと、その「不安・恐怖」とは周囲からの非難や抵抗であったり、金銭(食って行けるか)であったりする。著者は、それらを一つ一つ取り除く手段を伝授してくれる。そして「無理だとか言い訳は通用しないぜ。こんなやり方があるだろう、こうすればどうだい」と迫ってくるのだ。そこがすごい。

もう一つ、今の本であるという長所もある。言わずもがなのインターネットだ。これにより働き方や支援者の獲得方法がまったく様変わりしている。著者がインターネットの恩恵を最大限享受している姿がうかがえる。昔より「自分のための人生」をおくるハードルは低くなっているのかもしれない。

僕のようなおじさんでも、読んでいて胸がドキドキした。いろいろと考えさせられた。本書を読んだからといって、僕が著者のように世界各地を旅することはないし、まとわりついているしがらみをすべてきれいさっぱり捨て去ることもないだろう。でも変えられそうなところははっきりしてきたし、変えられるんじゃないかと勇気が湧いてきた。最後に、気に入ったフレーズを一つだけ挙げておこう。

Don't just escape from something; escape to something.

そして堀さんにも感謝。

 - 人文, 読書