「らしさ」を際立たせるために 『デザインセンスを身につける』
2017/09/16
デザインセンスを身につける / ウジトモコ / ソフトバンク新書
これ、『デザインセンスを身につける/ウジトモコ/ソフトバンク新書』は、予感していた以上のいい本だった。そのタイトルと、前半をパラパラ眺めた印象とから、ビジュアルデザインのテクニック解説かなと予想したらなんのなんの、そんなちっぽけな範囲に留まらないデザインの本質が展開されていた。デザインセンスとは何か、どうして重要なのか、デザインセンスを身につけるとどんないいことがあるのか。そんなポイントを易しく(優しく)語りかけてくれるのだ。
「デザインする」ということは、そのデザインされる何かの「らしさ」を際立たせるということ。例えば「自分らしさ」。でも、自分らしさってのはなかなかわかりづらい。そんなときは、「なりたい自分になる」ためにまず「間違えられてはいけないものをはっきりさせる」ことから入るというアプローチを繰り返し勧めている。これにはなるほどと目が開けた。見せたい自分、間違われてはいけない自分をしっかりと認識し、それを表現することがデザインの原点なんだね。人間は、自分の望むことと逆方向に行こうとしがちだ。やめようと思っていてもやめられない、やろうと思っていても一歩が踏み出せない。人は強くないのだ。だからこそ、目の前に目印や旗印を掲げておく。自分らしさをデザインするのが大切ってのは、そういうことだったのだ。デザインセンスについて知ること、学ぶことは、「幸せ」をデザインすること。この辺がしっかり認識できただけでも読んだ価値ありだ。
本書には、twitter、Facebookなどのアイコンやプレゼン資料の作りかたといった身近なデザインのノウハウも具体例として盛り込まれていて、こちらも参考になる。例えばプレゼンだと、
- 冒頭に「期待感」を必ず伝える。
- 「テンプレート」は誰かが作った下書き、「フォーマット」は自分が作った形式。もちろんフォーマットが大事。
- プレゼンのシートにはキャラクター(配役)を割り振る。
などは常に意識して役立てたいところ。
さて、本書の最後はこんな言葉で締めくくられている。
あなたの明日が、輝くものであることを願って止みません。そして、何か見えない壁のようなものにぶちあたったら、いつでもここに戻ってきてください。
読み終えて、とてもいい気分になっていた。