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「萌え」が仕事をしやすくする 『佐川萌え』

      2017/09/16

佐川萌え / 坂口さゆり / ジュリアン
佐川萌え

レビュープラスさんから頂戴しました。いつもありがとうございます。

小泉今日子、YOU、マツコ・デラックスらのテレビトークをきっかけに、じんわりと表面化してきたらしい「佐川萌え」。佐川急便のお兄さんステキ、ってこと。本書はこれをキーワードとした佐川流の人材マネジメント術、新人研修からその後の育成プログラムを紹介している。

さて、この「佐川萌え」は佐川急便の経営戦略なのか?本書のタイトル『佐川萌え』を前提に取材を受けたのだろうし、佐川のHPでは「今週のセールスドライバー」と題して2006年からSD(セールスドライバー)を前面に打ち出していることからみて、その可能性は極めて高い。運送会社が萌えビジネスに参入したのだ。社員を萌えの対象にすることが商売になると判断したのだ。荷物を確実に速く届けることが最重要目的とする業界において、これは画期的なことではなかろうか。

もちろん会社としては運ぶ荷物を取ってこないとには仕事にならないわけで、その営業窓口としてのSDに萌えてもらえばぐっとやりやすくなると考えるのはうなずける。

萌えてもらうために佐川は何をしたか。採用したSDに基本を叩き込んだのである。おもてなしの心という意識であり、それを表現する礼儀(爽やかな見た目と挨拶)。いたってシンプル、まさに基本。客商売をしているたいていの会社はこのような社員教育をしているであろう。ではなぜ佐川萌えなる現象が生じたのか?思うに一つの答えはその母数だろう。佐川急便には30000人ほどのSDがいると推定される。みんながみんな萌えの対象になっていることは決してないが、ある割合で優秀な萌えSDがいれば、大きな母数のメリットが生まれてくる。とは言え、それなら「ヤマト萌え」の方が有利なはずで、ぼくはまだうまい答えを引き出せていない。

本書は極めて平易なビジネス本、自己啓発本で、その手の書物にはじめて触れる方に向けて書かれている(タイトルからも表紙からもそううかがえる)。だからやむを得ないのかもしれないが、残念な点も挙げると、佐川急便の広報・人事にヒアリングしたことをまとめましたという印象はぬぐえない。萌えが業績にどの程度貢献しているのか、ヤマトと、さらには他業種と比較してどうなのかなど、もっと掘り下げたものも読んでみたい。また、どれくらいの比率で萌えSDがいれば「佐川萌え」現象が発現するのか(ブラックな佐川からホワイトな佐川へ転移する限界)なんてのを調べてみるのも面白いかなと思った。

本書の詳しい情報はこちら 『佐川萌え』公式サイト
http://pubplus.jp/sagawamoe

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